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ナスの育て方完全ガイド|秋まで長く収穫する栽培テクニック

ナスの害虫対策|テントウムシダマシ・ハダニの防除法

公開: 2026年2月6日更新: 2026年2月12日
ナスの害虫対策|テントウムシダマシ・ハダニの防除法

ナス栽培で問題となるテントウムシダマシとハダニの特徴、被害症状、効果的な防除方法を徹底解説。薬剤選択のポイント、予防対策、総合的害虫管理(IPM)まで、実践的な対策方法と最新の研究結果をご紹介します。

ナスの害虫対策|テントウムシダマシ・ハダニの防除法

ナス栽培で避けては通れないのが、害虫による被害です。特にテントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ)とハダニは、ナスの生育を大きく阻害する代表的な害虫です。本記事では、これらの害虫の特徴から効果的な防除法まで、実践的な対策を詳しく解説します。

ナス栽培の基本についてはナスの育て方完全ガイドで詳しく解説していますので、合わせてご参照ください。

ナスの葉を食害するテントウムシダマシ
ナスの葉を食害するテントウムシダマシ

テントウムシダマシとは|見分け方と被害の特徴

テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ・オオニジュウヤホシテントウ)は、一見すると益虫のテントウムシに似ていますが、実は植物を食害する害虫です。成虫は体長5~8mmで、黄褐色の体に28個の黒い斑点があります。

主な被害症状

テントウムシダマシによる被害は、成虫・幼虫ともに葉を食害することで現れます。食害された葉は表皮が薄く残り、網目状のかすり状になるのが特徴です。被害が進行すると葉全体が白く変色し、光合成ができなくなります。

発生時期は5月から10月にかけてで、特に梅雨明け後の高温期に活発化します。成虫は年に2~3回発生し、幼虫は約20日間で成虫になります。卵は葉裏に20~30個ずつ産みつけられ、黄色で縦に並んで配置されます。

テントウムシとの見分け方として、テントウムシダマシは体表に細かい毛が生えており、体色がやや淡い黄褐色をしています。また、益虫のテントウムシよりも動きが緩慢で、触れても逃げにくい特徴があります。詳しい識別方法についてはminorasuの解説記事が参考になります。

ナス科の野菜全般に発生しますが、特にジャガイモとナスで被害が大きくなります。じゃがいもの育て方でも害虫対策について触れていますので参考にしてください。

ハダニの生態と被害パターン

ハダニは体長0.3~0.5mmの非常に小さなダニで、肉眼では確認しにくい害虫です。ナスに発生するのは主にナミハダニとカンザワハダニで、葉裏に寄生して吸汁します。

ハダニ被害の特徴

ハダニに吸汁された葉は、白い小斑点が多数現れます。被害が進行すると葉全体が白っぽくなり、褐色に変色して枯れていきます。重度の発生時には葉裏に白い糸状のクモの巣のような巣を張り、そこに多数のハダニが集まります。

ハダニは高温乾燥を好み、梅雨明けから9月にかけて爆発的に増殖します。1匹のメスが1日に10個程度の卵を産み、気温25~30℃では約10日で成虫になるため、短期間で大発生します。チバニアン兼業農家学校の記事では、2024年の最新対策が紹介されています。

乾燥した環境下では繁殖力が非常に高く、薬剤抵抗性を持つ個体が出現しやすいため、防除が難しい害虫の一つです。特にビニールマルチを使用している場合や、ハウス栽培では発生しやすくなります。

ハダニ被害を受けたナスの葉
ハダニ被害を受けたナスの葉

テントウムシダマシの効果的な防除法

テントウムシダマシの防除は、発生初期の対応が最も重要です。以下の方法を組み合わせて総合的に対策しましょう。

薬剤による防除

発生初期に薬剤散布を行うことが効果的です。テントウムシダマシは葉裏に潜んでいるため、薬液が葉裏までしっかり届くように散布することが重要です。展着剤を混用すると薬剤の付着性が向上します。

使用できる主な農薬としては、ネオニコチノイド系(アクタラ、ダントツなど)、有機リン系(スミチオン、オルトランなど)、ピレスロイド系(アディオン、トレボンなど)があります。カインズの解説記事では家庭菜園向けの薬剤選択について詳しく紹介されています。

薬剤抵抗性の発達を防ぐため、異なる系統の薬剤をローテーションで使用することが推奨されます。同じ系統の薬剤を連続使用すると、効果が低下する可能性があります。

散布は早朝または夕方の気温が低い時間帯に行い、葉の表と裏の両面にまんべんなく散布します。風の強い日は避け、雨天後は再散布が必要になる場合があります。

物理的防除

防虫ネット(目合い1mm以下)を設置することで、成虫の飛来を防ぐことができます。育苗期から定植初期までネットで覆うだけでも、初期の被害を大幅に軽減できます。

成虫や幼虫を見つけたら、捕殺することも効果的です。特に発生初期に卵塊や幼虫を除去することで、その後の大発生を防げます。被害葉はこまめに摘み取り、ほ場外で処分します。

畝間にポリフィルムマルチを敷くことで、地面からの成虫の這い上がりを防ぐことができます。また、マルチによって地温が上がるため、一定の忌避効果も期待できます。

耕種的防除

ジャガイモ畑から離れた場所にナスを植えることで、テントウムシダマシの移動を減らせます。前作でナス科作物を栽培した場所は避け、輪作を心がけましょう。

ほ場周辺の雑草、特にナス科の雑草(イヌホオズキなど)を徹底的に除去します。これらの雑草はテントウムシダマシの越冬場所や食草となるためです。

収穫後は速やかに残渣を処分し、土壌中や周辺での越冬を防ぎます。残渣は畑の外に持ち出すか、深く土中に埋め込みます。

防虫ネットで守られたナス
防虫ネットで守られたナス

ハダニの防除対策|予防から駆除まで

ハダニ対策は予防が何より重要です。発生してからの駆除は困難なため、早期発見と予防的措置が効果的です。

環境管理による予防

ハダニは乾燥を好むため、適度な湿度を保つことが予防につながります。葉水(葉に直接水をかける)を行うことで、ハダニの繁殖を抑制できます。特に晴天が続く時期には効果的です。

マルチングによる雑草抑制も重要です。雑草はハダニの発生源となるため、ポリフィルムマルチやわらマルチで地面を覆い、雑草の発生を防ぎます。

適切な水やりで土壌の湿度を一定に保つことも、ハダニの繁殖抑制に効果があります。トマトの育て方でも解説している通り、ナス科野菜では水管理が重要です。

薬剤による防除

ハダニは薬剤抵抗性が発達しやすいため、異なる系統の薬剤をローテーション散布することが必須です。同じ系統の薬剤を繰り返し使用すると、すぐに効果がなくなります。

主な殺ダニ剤として、コテツフロアブル(IRAC分類:10B)、マイトコーネフロアブル(23)、ダニサラバフロアブル(21A)などがあります。これらを作用機構の異なるグループから選んでローテーションします。

散布は葉裏を重点的に行います。ハダニは葉裏に生息しているため、葉裏に薬液がかからないと効果がありません。ノズルを上向きにして、下から葉裏に向けて散布します。

発生初期に気づいたら、すぐに薬剤散布を開始します。ハダニは増殖スピードが速いため、「まだ少ないから」と放置すると手遅れになります。UC IPMの資料では、科学的根拠に基づいた防除タイミングが解説されています。

天敵利用と生物的防除

天敵であるチリカブリダニやミヤコカブリダニを放飼する生物的防除も効果的です。これらの天敵ダニは農薬に弱いため、化学農薬との併用は慎重に行う必要があります。

ハダニの天敵はテントウムシ類やカゲロウ類の幼虫もいます。これらの益虫を保護するため、選択的に害虫だけに効く薬剤を使用することが望ましいです。

ピーマン・パプリカの育て方でも紹介している総合的病害虫管理(IPM)の考え方を取り入れ、化学農薬だけに頼らない防除体系を構築しましょう。

薬剤散布による防除作業
薬剤散布による防除作業

害虫別の防除薬剤比較表

以下の表は、テントウムシダマシとハダニに効果のある主な農薬とその特徴をまとめたものです。薬剤選択の参考にしてください。

害虫薬剤名系統(IRAC)特徴使用時期
テントウムシダマシアクタラ顆粒水溶剤4A浸透移行性が高い発生初期~
テントウムシダマシスミチオン乳剤1B広範囲の害虫に効果発生初期
テントウムシダマシトレボン乳剤3A速効性がある発生確認後すぐ
ハダニコテツフロアブル10B殺卵効果あり発生初期
ハダニマイトコーネフロアブル23幼虫~成虫に効果発生初期~中期
ハダニダニサラバフロアブル21A速効性と残効性発生初期
両方コロマイト乳剤6ダニと甲虫類に効果発生初期

農薬使用時には必ずラベルの適用作物、使用時期、使用回数を確認し、農薬取締法を遵守してください。収穫前日数(PHI)にも注意が必要です。

総合的害虫管理(IPM)のすすめ

テントウムシダマシとハダニの防除では、単一の方法ではなく、複数の防除法を組み合わせた総合的害虫管理(IPM:Integrated Pest Management)が効果的です。

IPMの基本的な考え方

化学農薬だけに頼らず、耕種的防除、物理的防除、生物的防除を組み合わせることで、害虫の発生を経済的被害レベル以下に抑えます。これにより、薬剤抵抗性の発達を遅らせ、環境への負荷も軽減できます。

まず栽培環境を整え、害虫が発生しにくい条件を作ります。防虫ネットマルチング、適切な水管理などの予防的措置を基本とし、発生を確認したら初期段階で対処します。

定期的なほ場観察(モニタリング)を行い、害虫の発生状況を把握します。週に2~3回、各株の葉裏を確認し、害虫や卵を早期発見することが重要です。

作型に応じた防除のポイント

露地栽培では、防虫ネットの利用が限定的になるため、定植時期の調整や品種選択が重要になります。害虫の発生ピークをずらすことで、被害を軽減できます。

ハウス栽培では、開口部への防虫ネット設置や栽培終了後のハウス内清掃が効果的です。ハウス内は乾燥しやすいため、ハダニ対策として適度な湿度管理を心がけます。

きゅうりの育て方でも紹介している通り、ウリ科野菜との混植や輪作を行うことで、特定の害虫が集中するのを防げます。

まとめ|継続的な観察と早期対応が成功の鍵

ナスの害虫対策、特にテントウムシダマシとハダニの防除では、発生してからの対処よりも予防と早期発見が何より重要です。日々のほ場観察を習慣化し、異常を早期に察知することが被害を最小限に抑えるポイントです。

薬剤防除を行う場合は、同じ系統の薬剤を連続使用せず、ローテーション散布を徹底しましょう。特にハダニは薬剤抵抗性が発達しやすいため、作用機構の異なる薬剤を計画的に使い分けることが長期的な防除成功につながります。

防虫ネットマルチング、適切な水管理などの耕種的・物理的防除を基本とし、必要に応じて薬剤や天敵を利用する総合的害虫管理(IPM)の実践が、持続可能なナス栽培を実現します。

害虫対策と合わせて、ナス栽培全般の知識を深めることで、より健全な株を育てることができます。詳しくはナスの育て方完全ガイドをご覧ください。

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