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かぼちゃ・ズッキーニの育て方完全ガイド|ウリ科野菜の栽培法

かぼちゃの病気対策|うどんこ病・疫病の予防と治療法

公開: 2026年2月6日更新: 2026年2月12日
かぼちゃの病気対策|うどんこ病・疫病の予防と治療法

かぼちゃ栽培で遭遇するうどんこ病と疫病の症状、発生メカニズム、効果的な予防法から自然農薬・化学農薬を使った治療法まで完全解説。重曹スプレーなど家庭菜園ですぐ実践できる対策から、プロ農家の総合的病害管理プログラムまで、収量を守る実践的な病気対策をご紹介します。

かぼちゃの病気対策|うどんこ病・疫病の予防と治療法

かぼちゃ栽培で最も頻繁に遭遇する病気が「うどんこ病」と「疫病」です。これらの病気は収穫量や品質に大きな影響を与えるため、早期発見と適切な対策が重要となります。本記事では、かぼちゃの主要な病気であるうどんこ病と疫病について、発生メカニズム、症状の見分け方、効果的な予防法、そして発症後の治療法まで、家庭菜園から本格的な農業まで対応できる包括的な対策方法をご紹介します。

かぼちゃの病気を理解する重要性

かぼちゃはかぼちゃ・ズッキーニの育て方完全ガイドでも解説している通り、ウリ科特有の病気にかかりやすい野菜です。特にうどんこ病と疫病は、発生すると急速に広がり、最悪の場合は全株が枯死することもあります。

研究データによると、適切な病害対策を行った場合と行わなかった場合では、収穫量に2倍以上の差が生じることが報告されています。このことからも、病気対策がいかに重要かがわかります。

かぼちゃがかかりやすい主な病気

病気名発生時期主な症状被害の深刻度
うどんこ病6月~10月葉に白い粉状のカビ中~高
疫病6月~9月(梅雨期)葉・茎・果実の腐敗極めて高
つる枯病7月~9月つる部分の枯死
炭疽病7月~9月葉や果実の黒色病斑
モザイク病生育期全般葉のモザイク模様

この中でも、うどんこ病と疫病は発生頻度が高く、被害も大きいため、重点的な対策が必要です。病気に強い野菜を育てるための基本は、土づくりと肥料の基礎知識で解説している通り、健全な土壌環境を整えることから始まります。

うどんこ病の症状と発生メカニズム

うどんこ病は、かぼちゃ栽培で最も遭遇しやすい病気の一つです。名前の通り、うどんの粉をまぶしたような白い粉状の症状が特徴的で、放置すると葉全体が白くなり、最終的には枯死してしまいます。

うどんこ病の症状と発生メカニズム - illustration for かぼちゃの病気対策|うどんこ病・疫病の予防と治療法
うどんこ病の症状と発生メカニズム - illustration for かぼちゃの病気対策|うどんこ病・疫病の予防と治療法

うどんこ病の症状と進行

うどんこ病の初期症状は、葉の表面に小さな白い斑点として現れます。この段階で気づくことができれば、対処は比較的容易です。しかし、見逃してしまうと以下のような進行を辿ります:

初期段階(発病から1~2週間)

葉の表面に直径1~5mm程度の白い円形の斑点が散在します。この段階では、まだ光合成への影響は軽微で、適切な処置により回復が可能です。

中期段階(発病から2~4週間)

白い斑点が拡大・融合し、葉の広い範囲が白く覆われます。この段階になると光合成能力が著しく低下し、葉が黄変し始めます。果実の肥大にも悪影響が出始めます。

末期段階(発病から4週間以降)

葉全体が白くなり、やがて茶色く枯れていきます。果実は十分に肥大せず、糖度も低下します。隣接する健全な株にも感染が広がり、圃場全体に被害が拡大します。

うどんこ病が発生しやすい条件

うどんこ病は糸状菌(カビ)の一種であるErysiphe cichoracearum(エリシフェ・シコラセアラム)という病原菌によって引き起こされます。この菌には以下のような特徴的な性質があります:

温度条件

最適発育温度は20~25℃で、梅雨明け後の初夏から秋口にかけて多発します。真夏の高温期(30℃以上)には一時的に発生が抑制されますが、気温が下がると再び活発化します。

湿度条件

多くの病原菌と異なり、うどんこ病菌は比較的乾燥した環境を好みます。湿度50~80%で最も活発に増殖し、葉が濡れている状態では逆に発芽が抑制されます。この特性から、乾燥が続く時期に多発する傾向があります。

栄養条件

窒素肥料が過剰な状態で育てられた軟弱徒長気味の株は、うどんこ病にかかりやすくなります。窒素過多により葉が柔らかく茂りすぎると、風通しが悪化し、病気の発生を助長します。

日照条件

日当たりの悪い場所や、株が密植されて葉が重なり合っている状態では、うどんこ病が発生しやすくなります。野菜の害虫・病気対策完全ガイドでも解説している通り、適切な株間確保が予防の基本となります。

うどんこ病の感染経路

うどんこ病菌は「活物寄生菌」と呼ばれ、生きている植物組織にのみ寄生できる性質を持っています。そのため、元気に生育している株であっても感染のリスクがあります。

感染は主に風によって運ばれた胞子が葉の表面に付着することから始まります。適切な温度・湿度条件が揃うと、胞子は数時間で発芽し、葉の表皮細胞に菌糸を伸ばして栄養を吸収し始めます。初期感染から白い粉状の症状が現れるまでは7~10日程度かかります。

一度発生すると、白い粉の正体である胞子が大量に形成され、これが風で飛散して周囲の株に次々と感染を広げていきます。このサイクルは条件が良ければ7日程度で完了するため、短期間で圃場全体に蔓延する可能性があります。

疫病の症状と発生メカニズム

疫病は、かぼちゃ栽培において最も警戒すべき病気の一つです。うどんこ病と異なり、発生すると急速に広がり、短期間で株全体を枯死させてしまう破壊力を持っています。特に果実に感染すると直接的な収量損失につながるため、予防が極めて重要です。

疫病の症状と発生メカニズム - illustration for かぼちゃの病気対策|うどんこ病・疫病の予防と治療法
疫病の症状と発生メカニズム - illustration for かぼちゃの病気対策|うどんこ病・疫病の予防と治療法

疫病の症状と進行

疫病の症状は、感染部位によって異なる様相を呈します。それぞれの特徴を理解しておくことで、早期発見が可能になります。

葉における症状

初期症状として、葉の縁や葉脈沿いに水浸状の暗緑色の病斑が現れます。この病斑は急速に拡大し、2~3日で葉全体に広がります。病斑部は次第に褐色から黒褐色に変色し、湿度が高い条件では裏面に白いカビ(菌糸)が生えます。

茎・つるにおける症状

茎やつるに感染すると、水浸状の暗緑色の病斑が現れ、やがて褐色に変色してくびれます。この部分から先の組織は養分の供給が断たれ、急速に萎れて枯死します。主枝が侵されると、株全体が枯れてしまいます。

果実における症状

果実に感染すると、表面に暗緑色の水浸状病斑が現れます。病斑は急速に拡大し、果実全体が軟化腐敗します。腐敗した部分からは悪臭を放ち、白いカビが生えることもあります。収穫直前の大きな果実が感染すると、大きな経済的損失につながります。

疫病が発生しやすい条件

疫病の原因菌はPhytophthora capsici(フィトフソラ・カプシシ)という卵菌類に属する病原菌です。この菌は以下のような環境条件で活発に活動します:

温度・湿度条件

最適発育温度は25~30℃で、梅雨期から夏季にかけて多発します。特に高温多湿の条件下で爆発的に増殖し、降雨が続くと被害が拡大します。湿度90%以上の環境では胞子の形成・飛散が活発化します。

水分条件

疫病菌は水を好み、水たまりができやすい圃場や、排水不良の場所で多発します。降雨後や灌水後に葉や茎が長時間濡れた状態が続くと、感染リスクが高まります。

土壌条件

疫病菌は土壌中で数年間生存できるため、過去に疫病が発生した圃場では再発のリスクが高くなります。特に粘土質で排水の悪い土壌では、病原菌が蓄積しやすい傾向があります。

疫病の感染経路

疫病菌は土壌中で越冬した菌糸や卵胞子から、春になると遊走子という運動性のある胞子を形成します。この遊走子は水中を泳いで移動できるため、雨水や灌水の水滴と共に植物体に到達し、感染を開始します。

感染は主に以下の経路で起こります:

  1. 土壌からの跳ね上がり感染:降雨や灌水時に、土壌中の病原菌が水滴と共に跳ね上がり、下葉に付着して感染します。これが最も一般的な感染経路です。
  1. 葉から葉への伝播:感染した葉から形成された胞子が、雨水や露と共に周囲の健全な葉に広がります。
  1. 果実への直接感染:地面に接触した果実や、病斑のある葉と接触した果実に直接感染します。

感染から発病までの期間は、温度条件にもよりますが、高温多湿下では2~3日と非常に短いのが特徴です。このため、発見時にはすでに複数の株に感染が広がっているケースが多く見られます。

うどんこ病・疫病の予防対策

病気の治療よりも予防が重要です。適切な予防対策を講じることで、うどんこ病や疫病の発生を大幅に抑制できます。ここでは、栽培管理による予防法を中心に解説します。

うどんこ病・疫病の予防対策 - illustration for かぼちゃの病気対策|うどんこ病・疫病の予防と治療法
うどんこ病・疫病の予防対策 - illustration for かぼちゃの病気対策|うどんこ病・疫病の予防と治療法

栽培環境の最適化

輪作の実施

かぼちゃを含むウリ科野菜は、最低3年間の輪作を行うことが推奨されます。同じ場所で連続してウリ科野菜を栽培すると、土壌中に病原菌が蓄積し、疫病などの土壌病害が発生しやすくなります。理想的には、イネ科やマメ科の作物を間に挟む4年輪作が効果的です。

排水対策

疫病予防には、排水の良い圃場選びが最重要です。水はけの悪い圃場では、畝を高くする(高さ30cm以上)、暗渠排水を設置する、などの対策が必要です。家庭菜園の始め方完全ガイドでも解説している通り、水はけの良い土壌環境は全ての野菜栽培の基本となります。

適切な株間と整枝

株間は90~120cm程度確保し、風通しを良くすることがうどんこ病予防に効果的です。つるが繁茂しすぎた場合は、古い葉や混み合った葉を間引いて、光と風が株全体に届くようにします。ただし、過度な摘葉は光合成能力を低下させるため、バランスが重要です。

肥培管理による予防

バランスの取れた施肥

窒素肥料の過剰施用は、軟弱徒長を招き、うどんこ病の発生を助長します。一方、窒素不足も株の抵抗力を弱めるため、適切な施肥設計が重要です。

基肥として、1㎡あたり堆肥2~3kg、化成肥料(N:P:K=8:8:8)100g程度を標準とし、生育状況を見ながら追肥で調整します。特にカリウムは病害抵抗性を高める効果があるため、不足させないよう注意が必要です。

マルチング

黒色ポリマルチや稲わらマルチを施すことで、土壌からの跳ね上がりによる疫病感染を大幅に減らせます。マルチは雑草抑制や地温確保の効果もあり、かぼちゃ栽培では非常に有効な資材です。

灌水管理による予防

灌水方法の工夫

疫病予防には、できる限り頭上からの散水を避け、株元への点滴灌水やマルチ下への灌水を行います。どうしても頭上散水を行う場合は、午前中の早い時間に行い、日中に葉が十分乾く時間を確保することが重要です。

一方、うどんこ病は乾燥条件で発生しやすいため、適度な湿度を保つことも必要です。乾燥が続く時期には、通路にも散水して圃場全体の湿度を保つと効果的です。

灌水のタイミング

夕方や夜間の灌水は避けます。夜間に葉が濡れた状態が続くと、疫病をはじめとする多くの病原菌の感染リスクが高まります。灌水は午前中に行い、昼間の日光で葉が乾くようにするのが基本です。

抵抗性品種の利用

近年、うどんこ病抵抗性を持つかぼちゃ品種が育成されています。例えば、「プログレス」という品種は、殺菌剤を使用しない条件下でも、感受性品種に比べてうどんこ病の発生を著しく抑制できることが研究で示されています。

病気が発生しやすい地域や、無農薬栽培を目指す場合は、こうした抵抗性品種の導入を検討する価値があります。ただし、完全に病気を防げるわけではないため、他の予防対策と組み合わせることが重要です。

うどんこ病の治療法(自然農薬編)

うどんこ病を発見したら、早期の対処が重要です。初期段階であれば、化学農薬を使わない自然農薬でも十分な効果が期待できます。ここでは、家庭菜園でも手軽に実践できる自然農薬による治療法を紹介します。

うどんこ病の治療法(自然農薬編) - illustration for かぼちゃの病気対策|うどんこ病・疫病の予防と治療法
うどんこ病の治療法(自然農薬編) - illustration for かぼちゃの病気対策|うどんこ病・疫病の予防と治療法

重曹スプレー

重曹(炭酸水素ナトリウム)は、うどんこ病の胞子形成や発芽を抑える効果があり、発病初期の対策として有効です。

作り方

  • 水500ml
  • 重曹1g(小さじ約1/4)
  • 食器用洗剤1~2滴(展着剤として)

これらを混ぜ合わせ、スプレーボトルに入れます。

使用方法

早朝か夕方の涼しい時間帯に、葉の表裏全体にまんべんなく噴霧します。特に発病部位とその周辺を重点的にスプレーします。3~5日おきに繰り返し散布することで、病気の進行を抑えられます。

注意点

重曹は濃度が高すぎると葉を傷める可能性があります。必ず規定の濃度を守り、初めて使う場合は小さな範囲で試してから全体に散布してください。また、炎天下での散布は避けます。

酢スプレー

食酢もうどんこ病菌の活動を抑える効果があります。酸性環境が病原菌の増殖を抑制するメカニズムです。

作り方

  • 水500ml
  • 食酢(穀物酢や米酢)30ml
  • 食器用洗剤1~2滴

これらを混ぜ合わせます。

使用方法

重曹スプレーと同様に、早朝か夕方に葉全体に噴霧します。週2~3回の頻度で継続的に散布すると効果的です。

注意点

酢の濃度が高すぎると植物にダメージを与える可能性があるため、上記の希釈率を守ってください。また、酢のにおいが気になる場合もあるため、住宅地での使用時は注意が必要です。

牛乳スプレー

牛乳に含まれる成分が、うどんこ病菌の細胞膜を破壊する効果があるとされています。

作り方

  • 水500ml
  • 牛乳(無脂肪乳でも可)50ml

これらを混ぜ合わせます。

使用方法

週1~2回、葉の表面に噴霧します。牛乳の成分が乾燥する際にうどんこ病菌を破壊します。

注意点

散布後に牛乳の臭いが残る場合があります。また、高温時には牛乳が腐敗する可能性があるため、涼しい時間帯に散布し、翌日には水で軽く洗い流すことをおすすめします。

病葉の除去

自然農薬と併用して必ず行うべきなのが、感染した葉の除去です。

実施方法

白い粉状の症状が出ている葉は、できるだけ早く株元から切り取って除去します。除去した葉は、畑の外に持ち出して処分するか、ビニール袋に密閉して可燃ゴミとして廃棄します。決して畑の隅に積み上げたり、コンポストに入れたりしないでください。病原菌が飛散して再感染の原因となります。

注意点

病葉を触った手や使用したハサミには胞子が付着しているため、作業後は必ず洗浄・消毒します。他の健全な株を触る前には、手や道具をアルコールで消毒するか、石鹸で洗浄してください。

化学農薬による治療法

自然農薬でコントロールできない場合や、予防的に確実な効果を得たい場合は、化学農薬の使用も検討します。適切に使用すれば、効果的かつ安全に病気を抑制できます。

化学農薬による治療法 - illustration for かぼちゃの病気対策|うどんこ病・疫病の予防と治療法
化学農薬による治療法 - illustration for かぼちゃの病気対策|うどんこ病・疫病の予防と治療法

主要な殺菌剤の種類と特徴

予防剤

病原菌の感染を未然に防ぐタイプの薬剤です。発病前または発病初期に使用することで効果を発揮します。

  • ダコニール1000(有効成分:TPN):予防効果に優れ、うどんこ病、疫病、炭疽病など幅広い病害に有効。散布後の効果持続期間は7~10日程度。
  • Zボルドー(有効成分:銅):古くから使われている銅剤で、予防効果が高い。有機栽培でも使用可能。ただし、高温期の散布は薬害リスクがあるため注意が必要。

治療剤

既に発病した病気に対して、病原菌を殺菌・抑制する効果を持つ薬剤です。

  • ベルクート水和剤(有効成分:フルアジナム):予防と治療の両方の効果を持ち、うどんこ病に高い効果を示します。
  • カリグリーン(有効成分:炭酸水素カリウム):重曹と同様のメカニズムで効果を発揮する薬剤。収穫前日まで使用可能で、家庭菜園でも使いやすい

予防・治療剤(混合剤)

予防効果と治療効果の両方を持つ薬剤や、複数の有効成分を配合した薬剤です。

  • シグナムWDG(有効成分:ボスカリド+ピラクロストロビン):作用機作の異なる2つの成分を配合しており、うどんこ病、疫病、炭疽病など幅広い病害に優れた効果を示します。耐性菌の発達を抑制する効果もあります。

農薬の使用方法

散布時期

予防剤は、病気が発生する前、または発生初期(白い粉がわずかに見える程度)に散布を開始します。治療剤は、発病を確認したらできるだけ早く散布します。

一般的には、梅雨入り前から予防散布を開始し、7~10日間隔で継続します。病気の発生が多い時期(6月~9月)は、より短い間隔(5~7日)での散布が推奨されます。

散布方法

薬剤は製品ラベルに記載された希釈倍率を守り、葉の表裏にまんべんなく散布します。散布液が滴り落ちる程度まで十分に散布することが重要です。

噴霧器は、手動式のスプレー、蓄圧式噴霧器、動力噴霧器など、圃場の規模に応じて選択します。家庭菜園では、2~3リットルの蓄圧式噴霧器が使いやすいでしょう。

薬剤のローテーション

同じ薬剤を連続して使用すると、病原菌が抵抗性(薬剤が効かなくなる性質)を獲得するリスクがあります。これを防ぐため、作用機作の異なる薬剤を交互に使用する「ローテーション散布」が推奨されます。

例えば、以下のようなローテーション例が考えられます:

1回目:ダコニール1000(予防剤)

2回目:シグナムWDG(予防・治療剤)

3回目:カリグリーン(治療剤)

4回目:ダコニール1000(予防剤)

以下繰り返し

安全使用の注意点

保護具の着用

農薬散布時は、必ず長袖・長ズボン、マスク、ゴム手袋、保護メガネを着用します。散布後は、衣服を着替え、手や顔をよく洗います。

収穫前使用日数の厳守

各農薬には「収穫前○日」という使用制限があります。この期間を守らないと、収穫物に農薬が残留する危険があります。ラベルを必ず確認し、収穫予定日から逆算して最終散布日を決定してください。

周辺への配慮

住宅地近くで散布する場合は、風のない日を選び、隣家や道路への飛散に注意します。事前に周辺住民に散布の予定を伝えることも、トラブル回避に有効です。

薬剤の保管

農薬は子供やペットの手の届かない場所に、鍵をかけて保管します。直射日光を避け、高温にならない場所を選びます。また、食品や飼料と一緒に保管しないよう注意してください。

総合的な病害管理プログラム

うどんこ病・疫病を効果的に管理するには、予防と治療を組み合わせた「総合的病害管理(IDM: Integrated Disease Management)」の考え方が重要です。

栽培前の準備(春)

3月~4月

  • 前作の残渣を完全に除去し、圃場外へ搬出する
  • 土壌診断を行い、適切な土づくりを実施(土づくりと肥料の基礎知識参照)
  • 排水対策(高畝作り、暗渠設置など)を実施
  • 抵抗性品種を選定・購入
  • マルチ資材を準備

定植~生育初期(5月~6月)

5月

  • 適切な株間(90~120cm)を確保して定植
  • 黒色ポリマルチまたは稲わらマルチを敷設
  • 定植後1週間は根の活着を優先し、灌水は控えめに

6月(梅雨入り前)

  • 疫病予防のため、ダコニール1000などの予防剤を散布開始(7~10日間隔)
  • 株元への点滴灌水を基本とし、頭上からの散水は避ける
  • 繁茂しすぎたつるや葉を適宜間引き、風通しを確保

生育~収穫期(7月~9月)

7月~8月

  • うどんこ病の発生が増える時期。予防剤と治療剤をローテーション散布(5~7日間隔)
  • 毎朝、株を観察し、初期症状を見逃さない
  • 乾燥が続く場合は、通路への散水で湿度を保つ
  • 発病した葉は速やかに除去し、圃場外へ搬出

9月

  • 収穫期に入るため、収穫前使用日数を確認して農薬散布計画を調整
  • カリグリーンなど、収穫前日まで使用可能な薬剤を活用
  • 収穫した果実は速やかに圃場から搬出し、病気の株との接触を避ける

収穫後の管理(10月~)

10月~11月

  • 収穫が終わった株は速やかに抜き取り、圃場外へ搬出(病原菌の越冬源を除去)
  • 次作の輪作計画を立案
  • 使用した農薬や発生した病気を記録し、翌年の対策に活用

この総合的なプログラムを実践することで、化学農薬の使用量を最小限に抑えつつ、効果的に病気を管理できます。

まとめ:健全なかぼちゃ栽培のために

かぼちゃの病気対策、特にうどんこ病と疫病への対処は、予防が最も重要です。適切な栽培環境の整備、バランスの取れた肥培管理、灌水方法の工夫など、日常の栽培管理を丁寧に行うことで、病気の発生リスクを大幅に低減できます。

発病してしまった場合でも、初期段階での発見と適切な対処により、被害を最小限に抑えることが可能です。自然農薬から化学農薬まで、状況に応じて適切な方法を選択し、組み合わせて使用することが効果的です。

プランター・ベランダ菜園の完全ガイドで紹介しているような限られたスペースでの栽培でも、これらの病気対策は重要です。家庭菜園でも本格的な農業でも、基本的な予防と対策の考え方は同じです。

健全な株を育て、おいしいかぼちゃを収穫するために、本記事で紹介した対策をぜひ実践してください。

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