さつまいもの収穫時期と掘り方|試し掘りのタイミングと注意点

さつまいもの最適な収穫時期の見極め方から試し掘りの方法、傷つけない掘り方まで詳しく解説。葉の変色、植え付けからの日数、霜の前の収穫など、家庭菜園で成功するためのポイントを網羅。収穫後の保存方法やキュアリングのコツも紹介します。
さつまいもの収穫時期と掘り方|試し掘りのタイミングと注意点
さつまいもの収穫は、栽培の中で最もワクワクする瞬間です。しかし、収穫のタイミングを間違えると、小さいイモしか採れなかったり、逆に腐らせてしまったりすることもあります。この記事では、さつまいもの最適な収穫時期の見極め方から、試し掘りの方法、そして傷つけずに掘り上げるコツまで、家庭菜園での成功のために必要な知識をすべて解説します。
さつまいもの収穫時期の基本
さつまいもは、植え付けから収穫までおおむね110~150日かかります。5月~6月に植え付けた場合、9月~11月が収穫適期となります。品種によって多少の違いはありますが、この日数を基本の目安として覚えておきましょう。
収穫時期を記録しておくことは非常に重要です。植え付けた日をカレンダーに記入し、そこから逆算して収穫時期を予測することで、計画的な栽培が可能になります。一般的には、早生品種で100~120日、晩生品種で130~150日が目安です。
海外のデータでは、10フィート(約3m)の列で15~30ポンド(約7~14kg)の収穫が期待できるとされています。日本の家庭菜園では、1株あたり5~10個、重さにして1~3kgのイモが収穫できれば成功と言えるでしょう。
さつまいもの育て方完全ガイドでは、植え付けから収穫までの全工程を詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
収穫時期を見極める4つのサイン
1. 葉の色の変化
最も分かりやすいサインは葉の色の変化です。通常、さつまいもの葉は鮮やかな緑色をしていますが、収穫時期が近づくと次第に黄色く変色し始めます。全体の葉の3~5割が黄色くなってきたら、収穫適期に入ったサインです。

ただし、病気や水不足でも葉が黄色くなることがあるため、他の要素も併せて確認することが大切です。
2. つるの成長停止
夏の間は旺盛に伸びていたつるが、秋になると成長が止まります。新しい葉が出なくなり、つる先が勢いを失ってきたら、地下のイモが充実してきた証拠です。
3. 気温の低下
さつまいもは熱帯原産の植物で、寒さに弱い性質があります。土壌温度が13℃(55°F)以下になると、イモが低温障害を受けて腐りやすくなります。そのため、霜が降りる前、遅くとも11月中旬までには収穫を終えるようにしましょう。
地域によって初霜の時期は異なりますが、一般的には以下が目安です:
| 地域 | 初霜の目安時期 | 収穫完了目標 |
|---|---|---|
| 北海道・東北 | 10月上旬~中旬 | 9月末まで |
| 関東・中部 | 11月上旬~中旬 | 11月上旬まで |
| 関西・中国・四国 | 11月中旬~下旬 | 11月中旬まで |
| 九州・沖縄 | 12月上旬~下旬 | 11月下旬まで |
4. 植え付けからの日数
最も確実な判断基準は、植え付けからの経過日数です。カレンダーに植え付け日を記録しておき、110日を過ぎたら試し掘りを開始しましょう。品種ごとの栽培日数を確認しておくと、より正確な収穫時期が分かります。
試し掘りの方法とタイミング
試し掘りは、収穫時期を正確に見極めるための重要な作業です。すべてのイモを一度に掘り上げてしまうと、まだ小さかった場合に後悔することになりますが、試し掘りをすることで適切な収穫時期を判断できます。

試し掘りのタイミング
植え付けから110日を過ぎたら、最初の試し掘りを行いましょう。特に以下の条件が揃った時が最適です:
- 葉の一部が黄色く変色し始めた
- つるの成長が止まった
- 晴天が2~3日続いた後(土が乾いている時)
試し掘りの手順
- 株の選定:畝の端にある1株を選びます。真ん中の株を掘ると、隣の株の根を傷つける可能性があるためです。
- つるを切る:掘りやすくするため、試し掘りする株のつるを地際から切ります。
- 周囲の土を掘る:株の中心から30~40cm離れた位置にスコップを入れ、周囲の土をやわらかくします。いきなり深く掘ると、イモを傷つける危険があるので注意しましょう。
- 判断と対応:
- 十分な大きさに育っている場合:他の株も収穫を開始
- まだ小さい場合:土を戻し、さらに2週間待って再度試し掘り
試し掘りで取り出したイモは、多少小さくても食べることができます。新鮮な掘りたてのさつまいもは、みずみずしくて美味しいですよ。
正しい掘り方と注意点
さつまいもを傷つけずに掘り上げることは、保存性を高めるために非常に重要です。傷ついたイモは腐りやすく、長期保存ができません。

つるの処理
収穫の1週間前につるを刈り取ると、イモの甘みが増します。つるを切ることで、葉で作られたデンプンが根に逆流し、イモに蓄積されるためです。また、つるがない方が収穫作業がしやすくなります。
つるは地際から5~10cmの位置で切り、畑から運び出します。つるは堆肥にすることができますが、病気が発生していた場合は、畑の外で処分しましょう。
掘り上げの手順
- 天候を選ぶ:晴天が2~3日続いた後の、曇りの日が最適です。土が乾きすぎていると硬くて掘りにくく、雨の後は土が重くて作業が大変になります。
- 周囲から掘り進める:株の中心から40~50cm離れた位置にスコップを入れ、周囲の土をやわらかくします。土づくりと肥料の基礎知識で解説しているように、良い土は掘りやすく、イモも取り出しやすくなります。
- イモの位置を確認:スコップで土を少しずつ取り除きながら、イモの位置を確認します。
- 慎重に掘り上げる:イモが見えたら、周囲の土を手で取り除きながら、イモを傷つけないように掘り上げます。つるの付け根に沿って掘り進めると、イモの位置が分かりやすくなります。
- すべてのイモを確認:1つの株から5~10個のイモが収穫できます。小さなイモも見逃さないよう、丁寧に確認しましょう。
よくある失敗と対策
| 失敗例 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| イモに傷がついた | スコップを深く刺しすぎた | 株から離れた位置から掘り始める |
| イモが見つからない | つるばかり伸びてイモができていない | 肥料の窒素分を減らす(つるぼけ防止) |
| イモが小さい | 収穫が早すぎた | 試し掘りで確認してから収穫 |
| イモが腐っている | 霜に当たった、または土が過湿 | 霜の前に収穫、排水改善 |
| イモが虫食い | コガネムシの幼虫被害 | 植え付け前の土壌消毒 |
野菜の害虫・病気対策完全ガイドでは、さつまいもに発生しやすい害虫や病気の予防法を詳しく解説しています。
収穫後の処理と保存方法
収穫したさつまいもは、適切に処理することで長期保存が可能になり、さらに甘みも増します。

天日干しと陰干し
- 天日干し(2~3時間):収穫直後のイモは水分が多く、腐りやすい状態です。畑で2~3時間天日干しして、表面の土を乾かし、皮を丈夫にします。
- 陰干し(1週間):直射日光の当たらない風通しの良い場所で、さらに1週間陰干しします。この期間に余分な水分が抜け、保存性が高まります。新聞紙の上に並べたり、コンテナに入れて積み重ねたりすると良いでしょう。
キュアリング(追熟)
さつまいもは収穫直後よりも、2~3週間保存した後の方が甘くなります。これを「キュアリング」と呼びます。この期間中に、イモの中のデンプンが糖に変わり、甘みが増すのです。
キュアリングの条件:
- 温度:30~33℃
- 湿度:90~95%
- 期間:4~7日間
家庭では、発泡スチロールの箱に新聞紙を敷き、イモを並べて温かい場所に置くことで、簡易的なキュアリングができます。
長期保存の方法
キュアリング後は、以下の条件で保存すると3~6ヶ月間保存できます:
- 温度:12~15℃
- 湿度:85~90%
- 場所:冷暗所(床下収納、物置など)
冷蔵庫での保存は避けましょう。 さつまいもは低温障害を起こしやすく、5℃以下で保存すると、中が黒く変色し、味が落ちます。
段ボール箱に新聞紙を敷き、イモを並べて新聞紙で覆い、さらに段ボールの蓋をすることで、適度な保温・保湿ができます。
品種による収穫時期の違い
さつまいもには多くの品種があり、それぞれ収穫適期が異なります。代表的な品種の栽培日数を知っておくと、計画的な栽培に役立ちます。
| 品種名 | 栽培日数 | 収穫時期の目安(5月末植え) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 紅あずま | 120~140日 | 9月下旬~10月中旬 | 関東で人気、甘みが強い |
| 鳴門金時 | 130~150日 | 10月上旬~10月下旬 | 徳島の特産、ホクホク食感 |
| 安納芋 | 130~150日 | 10月上旬~10月下旬 | 種子島の特産、非常に甘い |
| シルクスイート | 120~140日 | 9月下旬~10月中旬 | なめらかな食感、甘い |
| 紅はるか | 140~150日 | 10月中旬~10月下旬 | 近年人気、糖度が高い |
| パープルスイートロード | 130~140日 | 10月上旬~10月中旬 | 紫色、アントシアニン豊富 |
早生品種は収穫が早い分、貯蔵性がやや劣る傾向があります。長期保存を目指す場合は、晩生品種を選ぶと良いでしょう。
収穫量を増やすコツ
より多くのさつまいもを収穫するためには、収穫時期だけでなく、栽培全体での工夫が必要です。
つるぼけを防ぐ
窒素肥料が多すぎると、つるばかりが伸びてイモが太らない「つるぼけ」という状態になります。さつまいもは痩せた土地でも育つため、**肥料は控えめ**にすることが重要です。特に窒素分の少ない肥料を選びましょう。
つる返しの実施
7月~8月にかけて、畝からはみ出したつるを持ち上げ、畝の上に戻す「つる返し」を行います。これにより、つるから出た不定根がイモになるのを防ぎ、株元のイモに養分を集中させることができます。2~3週間に1回のペースで行いましょう。
適切な水やり
植え付け直後は水やりが必要ですが、活着後は基本的に水やり不要です。むしろ、乾燥気味に育てることで、イモが地中深くまで根を伸ばし、甘みが増します。ただし、極端な干ばつが続く場合は、週に1回程度水やりをしましょう。
黒マルチの活用
黒いマルチフィルムで畝を覆うことで、地温を上げ、雑草を抑制できます。さつまいもは高温を好むため、特に北日本や標高の高い地域では、黒マルチの使用がおすすめです。
プランター・ベランダ菜園の完全ガイドでは、限られたスペースでさつまいもを育てる方法も紹介していますので、ぜひご覧ください。
まとめ:さつまいも収穫成功のチェックリスト
最後に、さつまいもの収穫を成功させるためのチェックリストをまとめます。
収穫前
- [ ] 植え付け日から110日以上経過した
- [ ] 葉の3~5割が黄色く変色している
- [ ] つるの成長が止まった
- [ ] 試し掘りで20~30cmのイモを確認した
- [ ] 霜が降りる前に収穫できる
収穫当日
- [ ] 晴天が2~3日続いた後の曇りの日を選んだ
- [ ] つるを1週間前に刈り取った(または当日刈り取る)
- [ ] スコップ、手袋、収穫用の容器を用意した
掘り上げ
- [ ] 株の中心から40~50cm離れた位置から掘り始める
- [ ] スコップを深く刺しすぎない
- [ ] 周囲の土をやわらかくしてから掘り進める
- [ ] つるの付け根に沿ってイモの位置を確認
- [ ] すべてのイモを取り出す(1株で5~10個)
収穫後
- [ ] 畑で2~3時間天日干し
- [ ] 陰干し1週間
- [ ] 12~15℃の冷暗所で保存
- [ ] 2~3週間後から食べ始める(キュアリング)
このチェックリストに従えば、初めての方でも失敗なく、美味しいさつまいもを収穫できるはずです。
さつまいもの収穫は、家庭菜園の中でも特に達成感のある作業です。土の中から次々と大きなイモが出てくる瞬間は、何度経験しても嬉しいものです。この記事で紹介した方法を参考に、ぜひ豊作を目指してください。また、家庭菜園の始め方完全ガイドでは、さつまいも以外の野菜の栽培方法も詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
美味しいさつまいもを収穫して、焼き芋、スイートポテト、天ぷらなど、様々な料理で楽しみましょう!
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