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さつまいもの育て方完全ガイド|甘くてホクホクの芋を栽培する

さつまいもの害虫対策|コガネムシ幼虫・ハリガネムシの防除法

公開: 2026年2月6日更新: 2026年2月12日
さつまいもの害虫対策|コガネムシ幼虫・ハリガネムシの防除法

さつまいも栽培で最も深刻な被害をもたらすコガネムシ幼虫とハリガネムシの効果的な防除方法を解説。化学的防除から有機栽培における生物農薬の活用法、マルチ栽培、輪作まで、総合的な害虫対策を詳しく紹介します。

さつまいもの害虫対策|コガネムシ幼虫・ハリガネムシの防除法

さつまいも栽培で最も深刻な被害をもたらすのが、土壌害虫であるコガネムシの幼虫とハリガネムシです。これらの害虫は収穫直前まで見えないところで芋を食害し続け、気づいた時には収穫量の50~70%が被害を受けていることも珍しくありません。本記事では、さつまいもの育て方を実践する上で欠かせない、コガネムシ幼虫とハリガネムシの効果的な防除方法を徹底解説します。

コガネムシ幼虫の被害と生態

コガネムシの幼虫は、さつまいも栽培において最も警戒すべき害虫の一つです。成虫は春から夏にかけて飛来し、土中に数十個の卵を産み付けます。JAあいち海部の研究によると、コガネムシの幼虫は1~3年にわたって土の中で活動し、特に2齢幼虫がさつまいもの根を激しく食害します。

被害のピークは8月下旬以降です。この時期に新しい幼虫が孵化し、収穫期に向けて肥大する芋を内部から食い荒らします。被害を受けた芋には大きな穴が開き、商品価値が著しく低下します。

コガネムシ成虫は越冬できないため、春に発生する被害は越冬した幼虫によるものです。そのため、前年の防除対策が翌年の被害を大きく左右します。

ハリガネムシ(マルクビクシコメツキ)の特徴と被害

ハリガネムシは正式名称を「マルクビクシコメツキ」といい、全国農村教育協会の病害虫情報によると体長25mm程度で2~3年にわたって生存します。その名の通り針金のように硬い体を持ち、さつまいもやじゃがいもに1~3mm程度の円形の穴を開けます。

ハリガネムシの被害は外見上わかりにくいのが特徴です。収穫した芋を切ってみて初めて、内部に無数の小さな穴が開いていることに気づくケースが多く、出荷直前に大きな損失が判明することもあります。

コガネムシ幼虫とは異なり、ハリガネムシは穿孔性の害虫であるため、芋の深部まで侵入し、腐敗の原因となります。特に有機栽培では化学農薬を使用しない分、被害が深刻化しやすい傾向があります。

化学的防除法|農薬による効果的な対策

さつまいもの土壌害虫に対して最も確実な防除方法は、植え付け時の土壌混和殺虫剤の施用です。やまむファームでは、以下の農薬が推奨されています。

主要な土壌殺虫剤の比較

農薬名系統特徴使用タイミング
ダイアジノン粒剤有機リン系従来から広く使用されている定番農薬植え付け時土壌混和
ダントツ粒剤ネオニコチノイド系薬剤抵抗性がついた場合に有効植え付け時土壌混和
スタイナーネマ製剤生物農薬昆虫病原性センチュウを利用植え付け2週間後
土壌くん蒸剤くん蒸剤越冬幼虫の防除に効果大植え付け1ヶ月前

シンジェンタジャパンの研究によると、ダイアジノン粒剤を長年使用している圃場では薬剤抵抗性を持つコガネムシが増加しているため、系統の異なるダントツ粒剤(ネオニコチノイド系)への切り替えが推奨されています。

土壌くん蒸剤は越冬幼虫に対して高い効果を発揮しますが、使用方法を誤ると大気中に大量の燻蒸剤が放出される危険性があるため、取扱いには十分な注意が必要です。

有機栽培における防除法|化学農薬を使わない対策

有機栽培や減農薬栽培を目指す場合、自然農法の専門家が提案する以下の方法が効果的です。

有機栽培における防除法|化学農薬を使わない対策 - illustration for さつまいもの害虫対策|コガネムシ幼虫・ハリガネムシの防除法
有機栽培における防除法|化学農薬を使わない対策 - illustration for さつまいもの害虫対策|コガネムシ幼虫・ハリガネムシの防除法

1. 生物農薬の活用

スタイナーネマ・グラセライは、コガネムシ幼虫に寄生する昆虫病原性センチュウです。化学農薬ではないため有機栽培でも使用可能で、UMass Amherstの研究では、ベネフィシャル・ネマトード(有用線虫)が土壌害虫に対して高い効果を示すことが報告されています。

使用方法は、植え付け2週間後の夕方、土壌が湿った状態で散布します。生きた微生物であるため、乾燥や高温を避け、適切な環境下で施用することが重要です。

2. マルチ栽培による産卵防止

セイコーエコロジアの実験では、マルチ資材でさつまいも畝を覆うことで、コガネムシ成虫の産卵を物理的に防ぐ効果が確認されています。特に黒マルチや銀色マルチは地温上昇と産卵抑制の両面で効果的です。

3. 堆肥の完熟化

未熟な堆肥や緑肥はコガネムシ成虫を誘引し、産卵を促進します。野菜の害虫対策でも解説していますが、使用する有機物は必ず完熟させてから施用し、植え付け1ヶ月以上前に土壌に混ぜ込むことが重要です。

4. おとり作物の活用

コガネムシはヒマワリを好む性質があります。さつまいも畑の周囲にヒマワリを植えることで、成虫をおびき寄せて産卵場所を分散させる効果があります。ただし、ヒマワリに産卵された場合は早期に抜き取り処分することが必要です。

5. 畑周辺の除草管理

畑の周りに雑草が繁茂していると、コガネムシの巣となり被害を拡大させます。定期的な除草を行い、成虫の生息場所を減らすことが、被害を少なくするために極めて重要です。

耕種的防除と総合的害虫管理(IPM)

Natural pest control methodsによると、化学的・生物的防除に加えて、以下のような耕種的管理を組み合わせることで、より効果的な害虫対策が可能になります。

耕種的防除と総合的害虫管理(IPM) - illustration for さつまいもの害虫対策|コガネムシ幼虫・ハリガネムシの防除法
耕種的防除と総合的害虫管理(IPM) - illustration for さつまいもの害虫対策|コガネムシ幼虫・ハリガネムシの防除法

輪作の実施

さつまいもを毎年同じ場所で栽培すると、土壌害虫が蓄積します。土づくりの基礎知識でも述べていますが、3~4年のサイクルで他の作物と輪作することで、害虫密度を大幅に低減できます。

クローバーや牧草の跡地は避けるべきです。これらの作物はハリガネムシの好む環境を作り出すため、直後にさつまいもを植えると被害が増大します。

春季耕起の徹底

植え付け前の春に畑を深く耕すことで、越冬幼虫を地表に露出させ、鳥などの天敵による捕食を促進できます。耕起を2~3回繰り返すことで、幼虫の生存率を大幅に下げることができます。

トラップ作物の設置

通常のじゃがいもをさつまいも畑の周囲に植えることで、ハリガネムシをおびき寄せるトラップとして機能します。ハリガネムシは普通のじゃがいもを好む傾向があるため、被害を分散させる効果が期待できます。

早期収穫の検討

コガネムシの新幼虫は8月下旬以降に孵化し、9月から10月にかけて食害が急増します。収穫時期を早めることで、被害を最小限に抑えることができますが、芋の肥大と糖度のバランスを考慮する必要があります。

まとめ|効果的な防除には総合的アプローチが重要

さつまいもの土壌害虫対策は、単一の方法に頼るのではなく、化学的防除、生物的防除、耕種的管理を組み合わせた総合的アプローチが最も効果的です。

特に重要なポイントは以下の通りです:

  • 植え付け時の土壌殺虫剤(ダイアジノン粒剤・ダントツ粒剤)の施用
  • マルチ栽培による成虫の産卵防止
  • 完熟堆肥の使用と未熟有機物の回避
  • 畑周辺の除草管理の徹底
  • 3~4年サイクルの輪作実施
  • 春季の深耕による越冬幼虫の駆除

有機栽培を目指す場合は、生物農薬(スタイナーネマ製剤)とベネフィシャル・ネマトードの活用、おとり作物の設置など、化学農薬に依存しない防除法を組み合わせることで、持続可能な害虫管理が可能になります。

さつまいも栽培全般については、さつまいもの育て方完全ガイドで詳しく解説していますので、併せてご覧ください。また、他の野菜の害虫対策については野菜の害虫・病気対策完全ガイドをご参照ください。

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