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さつまいもの育て方完全ガイド|甘くてホクホクの芋を栽培する

さつまいものつる返しのやり方|不定根を防いで芋を大きくする方法

公開: 2026年2月6日更新: 2026年2月12日
さつまいものつる返しのやり方|不定根を防いで芋を大きくする方法

さつまいものつる返しの正しいやり方を徹底解説。最適な時期、実施頻度、注意点を詳しく紹介します。不定根を防いで大きな芋を収穫するための必須テクニックを初心者にもわかりやすく説明。マルチ栽培や品種による違いも解説します。

さつまいものつる返しのやり方|不定根を防いで芋を大きくする方法

さつまいもを栽培していると、ツルがどんどん伸びて畑中に広がっていきます。この伸びたツルを放置すると、地面に接触した部分から不定根が出て、小さな芋がたくさんできてしまい、肝心の株元の芋が大きく育ちません。そこで必要になるのが「つる返し」という作業です。つる返しを適切に行うことで、栄養を本体の芋に集中させ、大きくて甘いさつまいもを収穫することができます。

この記事では、つる返しの基本的なやり方から最適な時期、注意点まで詳しく解説します。初心者の方でも簡単に実践できる内容ですので、ぜひ参考にしてください。

つる返しとは?なぜ必要なのか

つる返しとは、地面に広がったさつまいものツルを持ち上げて、地面に着いた不定根を切る作業のことです。さつまいものツルは節から根を出す性質があり、地面に接触している部分から次々と根が発生します。この不定根が成長すると小さな芋を形成してしまい、本来育てたい株元の芋に回るはずの栄養が分散してしまいます。

つる返しを行うことで、以下のような効果が期待できます:

  • 主芋への栄養集中:不定根による栄養の分散を防ぎ、株元の芋に養分を集中させる
  • 芋の大型化:栄養が集中することで、一つ一つの芋が大きく育つ
  • 収穫量の安定:小さな芋が乱立するのを防ぎ、商品価値の高い大きな芋を収穫できる
  • 病害虫の予防:ツルを整理することで風通しが良くなり、病気の発生を抑える

農業研究でも、つる返しによって主芋のサイズが増大することが確認されており、特に裸地栽培(マルチを使わない栽培)では効果が顕著に現れます。

つる返しの最適な時期

つる返しの時期を間違えると、かえって芋の生育に悪影響を与えることがあります。以下のタイミングを目安に実施しましょう。

つる返しの最適な時期 - illustration for さつまいものつる返しのやり方|不定根を防いで芋を大きくする方法
つる返しの最適な時期 - illustration for さつまいものつる返しのやり方|不定根を防いで芋を大きくする方法

基本的な実施時期

さつまいもは6月下旬から7月初旬の梅雨時に地上部が急成長を始め、8月下旬から9月上旬にかけて成長のピークに達します。つる返しはこの成長ピークの前、つまり7月下旬から8月中旬頃が最適です

具体的には以下のサインを確認してください:

  • 茎葉が畝全体を覆い始めた時
  • ツルが隣の畝まで伸び始めた時
  • 葉が繁茂して地面が見えなくなった時

実施頻度

つる返しは1回だけでなく、複数回行うことが推奨されます。一般的には2〜3週間に1回のペースで、8月から9月中旬まで継続して行うと効果的です。ツルの成長が旺盛な時期は週に1回程度チェックして、地面に根付いている部分があればすぐに返すようにしましょう。

時期つる返しの頻度目的
7月下旬初回実施初期の不定根除去
8月上旬〜中旬2週間に1回継続的な根の管理
8月下旬〜9月上旬週1回成長ピーク時の集中管理
9月中旬以降不要芋の肥大に集中

つる返しの正しいやり方

つる返しは簡単な作業ですが、いくつかのコツがあります。間違った方法で行うとツルを傷めてしまうので、以下の手順を守りましょう。

つる返しの正しいやり方 - illustration for さつまいものつる返しのやり方|不定根を防いで芋を大きくする方法
つる返しの正しいやり方 - illustration for さつまいものつる返しのやり方|不定根を防いで芋を大きくする方法

基本的な手順

  1. ツルの先端を持つ:ツルの先端部分をしっかりと手で掴みます
  2. 株元に向かって引き上げる:ツルを持ち上げながら、株元の方向に寄せていきます
  3. 不定根を切り離す:地面に着いていた部分の根が「プチッ」と切れる感覚があります
  4. ツルを畝の上に戻す:根を切ったツルは、地面に直接触れないよう、他の葉の上に乗せるように配置します

重要なポイントは、ツル自体を切断しないことです。ツルは光合成を行う大切な器官なので、切ってしまうと芋の生育に悪影響が出ます。あくまで「地面に着いた根を切る」ことが目的です。

作業時の注意点

  • 晴れた日の午前中に行う:切り口が乾きやすく、病気の侵入を防げます
  • 無理に引っ張らない:強く引くとツルが切れたり、株元が抜けたりします
  • 葉を傷めない:できるだけ葉を傷つけないよう、丁寧に扱います
  • 熱中症対策:真夏の作業になるので、帽子や水分補給を忘れずに

さつまいも栽培の基本については、こちらの完全ガイドも参考にしてください。

つる返しをしないとどうなる?

つる返しをしなかった場合、以下のような問題が発生する可能性があります。

芋のサイズが小さくなる

不定根から形成された小さな芋に栄養が分散するため、本来育てたい株元の芋が十分に大きくなりません。収穫時に「思ったより小さい」「細長い芋ばかり」という結果になることがあります。

収穫量の減少

不定根によって形成された小さな芋は、商品価値が低く、実質的な収穫量の減少につながります家庭菜園であっても、料理に使いにくいサイズの芋ばかりでは満足度が下がってしまいます。

病害虫の発生リスク

ツルが地面に密着した状態が続くと、湿気がこもりやすく、病気が発生しやすい環境になります。特に葉の裏側にアブラムシやハダニが発生しやすくなり、病害虫対策が必要になることもあります。

つる返しが不要な場合もある

近年の品種改良や栽培方法の進化により、つる返しが必ずしも必要ではないケースも増えています。

つる返しが不要な場合もある - illustration for さつまいものつる返しのやり方|不定根を防いで芋を大きくする方法
つる返しが不要な場合もある - illustration for さつまいものつる返しのやり方|不定根を防いで芋を大きくする方法

マルチ栽培の場合

黒マルチや防草シートを使用している場合、ツルが直接地面に触れないため、不定根の発生が抑えられます。この場合、つる返しの必要性は大幅に低下します。

品種による違い

現代の改良品種の中には、不定根が芋に成長しにくい性質を持つものもあります。特に「紅はるか」「シルクスイート」などの新しい品種では、つる返しをしなくても十分な収穫が期待できることがあります。

栽培スペースに余裕がある場合

家庭菜園で広いスペースを使える場合、ツルを自由に伸ばしても問題ないことがあります。ただし、この場合も定期的な観察は必要です。

栽培条件つる返しの必要性理由
裸地栽培(マルチなし)高い不定根が発生しやすい
マルチ栽培低い地面との接触が少ない
改良品種使用中程度品種特性による
狭小スペース高い栄養効率を最大化する必要

つる返し後の管理

つる返しを行った後も、適切な管理を続けることが大切です。

水やりと追肥

つる返し後は、株に多少のストレスがかかります。極端な乾燥が続く場合は、軽く水やりをしましょう。ただし、さつまいもは乾燥に強い作物なので、過度な水やりは避けてください。土づくりと肥料管理を適切に行っていれば、追肥は基本的に不要です。

再度のつる返し

一度つる返しを行っても、ツルはまた地面に接触して根を出します。定期的にチェックして、必要に応じて再度つる返しを行いましょう。

雑草管理

つる返しのタイミングで、畝の周辺の雑草も一緒に取り除くと効率的です。雑草が繁茂すると、さつまいもの生育を妨げるだけでなく、害虫の隠れ場所にもなります。

まとめ:つる返しで美味しい大きなさつまいもを収穫しよう

つる返しは、さつまいも栽培において重要な管理作業の一つです。適切な時期に正しい方法で行うことで、大きくて甘いさつまいもを収穫できます。

つる返しのポイント再確認

  • 7月下旬から8月中旬が最適な時期
  • 2〜3週間に1回、定期的に実施
  • ツルを切らず、不定根だけを切り離す
  • マルチ栽培や改良品種では必要性が低い場合もある

他の根菜類の栽培方法じゃがいもの育て方とも共通する管理のコツがありますので、合わせて参考にしてみてください。適切なつる返しで、今年は大豊作を目指しましょう!

参考リンク

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