じゃがいもの収穫時期と掘り方|緑化を防ぐ収穫のコツ

じゃがいもの適切な収穫時期の見極め方、傷つけない掘り方、緑化を防ぐ保存方法を詳しく解説。茎葉の黄変サイン、収穫道具の選び方、ソラニン対策まで、安全で美味しいじゃがいも収穫の全てがわかります。春植え・秋植え別の収穫カレンダーも掲載。
じゃがいもの収穫時期と掘り方|緑化を防ぐ収穫のコツ
じゃがいもの収穫は、栽培の中でも最もワクワクする瞬間です。土の中から次々と現れる立派なじゃがいもは、家庭菜園の大きな喜びの一つでしょう。しかし、収穫のタイミングを誤ると、小さなじゃがいもばかりになったり、緑化して食べられなくなったりすることがあります。この記事では、適切な収穫時期の見極め方、正しい掘り方、そして緑化を防ぐための保存方法まで、じゃがいも収穫の全てを詳しく解説します。
じゃがいもの収穫時期を見極める5つのサイン
じゃがいもの収穫適期は、植え付けから約70~90日後が目安ですが、品種や気候によって異なります。収穫時期を正確に見極めるには、以下の5つのサインを観察しましょう。

1. 茎葉の黄変と枯れ始め
最も重要なサインは、地上部の茎葉が黄色くなり、枯れ始めたときです。じゃがいもは茎葉が枯れると、これ以上養分を作れなくなり、イモの肥大が止まります。茎葉全体の約70~80%が黄変したら収穫適期です。
2. 花が咲き終わってから2~3週間後
じゃがいもの花が咲き終わってから2~3週間が経過すると、イモが十分に肥大している可能性が高くなります。ただし、品種によっては花が咲かない場合もあるため、他のサインと合わせて判断しましょう。
3. 皮が厚くしっかりしている
試し掘りをして、皮が指でこすっても簡単に剥がれない状態になっていれば、収穫適期です。若いじゃがいもは皮が薄く、指で軽くこするだけで剥がれてしまいます。皮が厚くなると、保存性も高まります。
4. 植え付けからの日数
春植えの場合は植え付けから約90~100日後、秋植えの場合は約100~120日後が目安です。品種によって異なるため、種イモを購入した際の栽培説明を参考にしましょう。
5. 天候と土壌の状態
収穫は晴天が2~3日続いた後に行うのが理想的です。土が湿っていると、じゃがいもに土がこびりつき、傷つけやすくなります。また、雨の後は腐敗のリスクも高まります。
詳しいじゃがいも栽培の基本については、じゃがいもの育て方完全ガイドで解説しています。
じゃがいもの正しい掘り方|傷つけない収穫テクニック
じゃがいもを傷つけずに収穫するには、正しい道具選びと掘り方が重要です。傷ついたじゃがいもは保存中に腐敗しやすく、緑化のリスクも高まります。

収穫に適した道具
| 道具 | 特徴 | おすすめ度 |
|---|---|---|
| 平鍬(ひらくわ) | 土を広く掘り返せる | ★★★★★ |
| スコップ | 深く掘れるが、イモを傷つけやすい | ★★★☆☆ |
| 手掘り | 小規模栽培に最適、最も安全 | ★★★★☆ |
| フォーク | 土をほぐしやすいが、突き刺すリスクあり | ★★☆☆☆ |
効率的な掘り方の手順
ステップ1:茎を引き抜く
まず、枯れた茎を手で引き抜きます。茎につながっているイモが一緒に持ち上がることもありますが、無理に引っ張ると茎が切れてしまうので、軽く引く程度にしましょう。
ステップ2:株から30cm離れた位置から掘る
株の中心から約30cm外側に平鍬やスコップを入れます。株に近すぎる位置から掘ると、イモを傷つけるリスクが高まります。
ステップ3:周囲の土を大きく掘り返す
じゃがいもは株の周囲に広がって育っているため、広範囲の土を掘り返します。深さは約20~30cmが目安です。土をかき分けながら、丁寧にじゃがいもを取り出しましょう。
ステップ4:取り残しがないか確認
掘り返した土の中に小さなじゃがいもが残っていないか、手でしっかり確認します。取り残したじゃがいもは翌年雑草のように生えてくることがあります。
ステップ5:土を軽く落として日陰に置く
掘り出したじゃがいもは、土を手で軽く払い落とし、すぐに日陰に置きます。直射日光に当てると、数時間で緑化が始まるため注意が必要です。
他の根菜類の収穫方法については、大根・かぶの育て方完全ガイドやにんじんの育て方完全ガイドでも詳しく解説しています。
じゃがいもの緑化を防ぐ収穫後の処理
じゃがいもの緑化は、光に当たることで起こる現象で、有毒なソラニンという物質が生成されます。ソラニンは加熱しても分解されないため、緑化したじゃがいもは食べることができません。収穫後の適切な処理で、緑化を完全に防ぎましょう。

ソラニンの危険性と統計
研究によると、じゃがいもに含まれるソラニンの安全基準は200mg/kg以下とされています(出典:Oregon State University Extension - Glycoalkaloids in Potato Tubers)。体重1kgあたり2~5mgのソラニンを摂取すると中毒症状が現れ、6mg以上では致命的になる可能性があります。1865年から1983年の間に、約2,000件のソラニン中毒が記録され、30名が死亡した事例もあります。
収穫直後の処理
即座に暗所へ移動
収穫したじゃがいもは、すぐに光の当たらない場所に移します。Garden and Plantsによると、直射日光に数時間当たるだけでも緑化が始まるため、収穫かごやバケツに入れたら、速やかに屋内や日陰に運びましょう。
土を落とす(洗わない)
じゃがいもに付いた土は手で軽く払い落としますが、水で洗ってはいけません。水洗いすると保存性が大幅に低下します。土が固くこびりついている場合は、1~2日陰干しして乾燥させると、土が落ちやすくなります。
傷や病気のあるイモを選別
傷ついたじゃがいもや病気のイモは、保存用とは分けて早めに消費します。わずかな傷でも、そこから腐敗が広がり、他のじゃがいもにも影響を及ぼすことがあります。
風乾(キュアリング)で保存性を高める
収穫後、じゃがいもを10~14日間、風通しの良い日陰で乾燥させる「風乾(キュアリング)」を行うと、表皮が厚くなり、保存性が大幅に向上します。この期間中も、光は完全に遮断しましょう。温度は15~20℃、湿度は85~90%が理想的です。
じゃがいもの長期保存方法|緑化を防ぐ4つのポイント
適切な保存方法を実践すれば、じゃがいもは数ヶ月間新鮮な状態を保つことができます。緑化を防ぎながら長期保存するための4つのポイントを押さえましょう。

1. 完全な暗所で保存
じゃがいもは光に非常に敏感です。Grow Organicによると、わずかな光でも緑化が進行するため、段ボール箱や通気性のある布袋に入れて、光を完全に遮断する場所に保存します。透明な袋やネットは避けましょう。
2. 温度管理が重要
理想的な保存温度は5~8℃です。冷蔵庫の野菜室では温度が低すぎて、でんぷんが糖に変わり、甘くなりすぎることがあります。逆に、15℃以上の場所では発芽しやすくなります。床下収納や冷暗所が最適です。
3. 適度な湿度を保つ
湿度は85~90%が理想です。乾燥しすぎるとじゃがいもがしわしわになり、湿度が高すぎると腐敗やカビの原因になります。新聞紙を敷いた段ボール箱に入れると、適度な湿度を保ちやすくなります。
4. 定期的な確認と選別
保存中のじゃがいもは、2週間に1度は状態を確認しましょう。腐敗したイモや発芽したイモを見つけたら、すぐに取り除きます。また、緑化している部分があれば、その部分を厚めに切り取るか、全体が緑化している場合は廃棄します。
長期保存の注意点
- りんごなどエチレンガスを発生する果物と一緒に保存しない
- 袋の口は完全に閉じず、通気性を確保する
- 土付きのまま保存する(洗わない)
- 大量に重ねず、2~3段程度にする
他の野菜の保存方法については、玉ねぎ・ネギの育て方完全ガイドでも詳しく解説しています。
春植えと秋植えの収穫時期の違い
じゃがいもは春植えと秋植えの2回栽培でき、それぞれ収穫時期が異なります。地域や品種によっても差があるため、自分の栽培環境に合わせた計画を立てましょう。
春植えじゃがいもの収穫時期
植え付け時期:2月下旬~4月上旬
収穫時期:5月下旬~7月上旬
春植えは最も一般的な栽培方法で、初夏に収穫します。梅雨前に収穫を終えられるため、病気のリスクが低く、初心者にもおすすめです。春植えに適した品種は、男爵、メークイン、キタアカリなどです。
秋植えじゃがいもの収穫時期
植え付け時期:8月下旬~9月中旬
収穫時期:11月下旬~12月中旬
秋植えは温暖な地域(関東以西)で可能です。秋植えに適した品種は、デジマ、ニシユタカ、アンデス赤などです。秋植えは春植えよりも栽培期間が短く、収穫量も少なめですが、病気が出にくいというメリットがあります。
地域別の収穫時期
| 地域 | 春植え収穫時期 | 秋植え収穫時期 |
|---|---|---|
| 北海道 | 8月下旬~9月中旬 | 栽培困難 |
| 東北 | 7月上旬~8月上旬 | 栽培困難 |
| 関東 | 6月上旬~7月上旬 | 11月下旬~12月中旬 |
| 関西 | 5月下旬~6月下旬 | 11月中旬~12月上旬 |
| 九州 | 5月中旬~6月中旬 | 11月上旬~12月上旬 |
詳しい栽培計画については、じゃがいもの育て方完全ガイドを参照してください。
収穫したじゃがいもの活用法と保存期間
収穫したじゃがいもは、保存状態によって数ヶ月間楽しむことができます。適切に保存すれば、家庭菜園で収穫したじゃがいもの美味しさを長期間味わえます。
保存期間の目安
- 風乾後の完熟イモ:3~6ヶ月
- 新じゃが:1~2ヶ月
- 傷のあるイモ:1週間以内に消費
新じゃがは皮が薄く水分が多いため、長期保存には向きません。早めに消費し、長期保存用には完熟したじゃがいもを選びましょう。
収穫直後の楽しみ方
収穫したばかりのじゃがいもは、皮が薄く、みずみずしい新じゃがとして楽しめます。皮ごと調理すると、風味が豊かで、じゃがいも本来の味を堪能できます。シンプルに蒸したり、バターで焼いたりする調理法がおすすめです。
品種別の保存性
| 品種 | 保存性 | 特徴 |
|---|---|---|
| 男爵 | 普通(3~4ヶ月) | ホクホク、煮崩れしやすい |
| メークイン | 良好(4~5ヶ月) | しっとり、煮崩れしにくい |
| キタアカリ | やや悪い(2~3ヶ月) | 甘みが強い、早めに消費 |
| インカのめざめ | やや悪い(2~3ヶ月) | 濃厚な甘み、小粒 |
保存性の低い品種は、冷凍保存も検討しましょう。茹でたじゃがいもをマッシュして小分け冷凍すると、コロッケやポテトサラダにすぐ使えて便利です。
まとめ:じゃがいも収穫を成功させる5つのポイント
じゃがいもの収穫と保存を成功させるための重要なポイントをまとめます。
- 収穫適期を見極める:茎葉が70~80%黄変したとき、または植え付けから70~90日後を目安に収穫します。試し掘りで皮の厚さを確認しましょう。
- 傷つけずに掘る:株から30cm離れた位置から掘り始め、広範囲の土を大きく掘り返します。平鍬や手掘りが安全です。
- 即座に暗所へ:収穫したじゃがいもは直射日光に数時間当てるだけでも緑化が始まるため、すぐに暗所に移します。
- 風乾で保存性向上:収穫後10~14日間、風通しの良い日陰で乾燥させると、表皮が厚くなり保存性が高まります。
- 適切な環境で保存:温度5~8℃、湿度85~90%、完全な暗所で保存します。定期的に状態を確認し、腐敗や発芽したイモは取り除きます。
じゃがいもの収穫は、適切なタイミングと方法を守ることで、美味しいじゃがいもを長期間楽しむことができます。緑化を防ぐための知識は、安全性にも直結する重要なポイントです。この記事で紹介した収穫のコツと保存方法を実践し、家庭菜園で育てたじゃがいもを存分に味わいましょう。
他の野菜の栽培方法については、トマトの育て方完全ガイド、きゅうりの育て方完全ガイド、さつまいもの育て方完全ガイドもぜひご覧ください。
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