野菜育てる野菜育てる
いちごの育て方完全ガイド|甘くて大きい苺を家庭菜園で栽培する

いちごの害虫対策|アブラムシ・ハダニ・ナメクジの防除法

公開: 2026年2月6日更新: 2026年2月12日
いちごの害虫対策|アブラムシ・ハダニ・ナメクジの防除法

いちご栽培で最も頭を悩ませるのが害虫対策です。アブラムシ、ハダニ、ナメクジの3大害虫は、放置すると収穫量を大きく減らし、果実の品質も低下させてしまいます。この記事では、各害虫の特徴から効果的な防除方法、予防策まで、家庭菜園から小規模農園まで役立つ実践的な対策を詳しく解説します。いちご栽培で特に問題となる害虫は、アブラムシ、ハダニ、ナメクジの3種類です。

いちごの害虫対策|アブラムシ・ハダニ・ナメクジの防除法

いちご栽培で最も頭を悩ませるのが害虫対策です。アブラムシ、ハダニ、ナメクジの3大害虫は、放置すると収穫量を大きく減らし、果実の品質も低下させてしまいます。この記事では、各害虫の特徴から効果的な防除方法、予防策まで、家庭菜園から小規模農園まで役立つ実践的な対策を詳しく解説します。

いちごの3大害虫とその被害

いちご栽培で特に問題となる害虫は、アブラムシ、ハダニ、ナメクジの3種類です。それぞれが異なる方法で植物にダメージを与えるため、害虫ごとの特性を理解した上で適切な対策を講じることが重要です。

いちごの3大害虫とその被害 - illustration for いちごの害虫対策|アブラムシ・ハダニ・ナメクジの防除法
いちごの3大害虫とその被害 - illustration for いちごの害虫対策|アブラムシ・ハダニ・ナメクジの防除法

アブラムシによる被害

アブラムシは体長1~3mm程度の小型害虫で、主に新芽や葉の裏側に群生し、植物の汁液を吸います。吸汁により葉が縮れたり変形したりするだけでなく、アブラムシが排泄する甘露(honeydew)が葉や果実に付着し、すす病の原因となります。すす病は葉を黒く変色させ、光合成を阻害します

さらに深刻なのは、アブラムシがウイルス病を媒介することです。いちごモザイク病や萎縮病などのウイルス性疾患は治療が不可能で、感染した株は廃棄するしかありません。アブラムシ1匹が複数の株を移動することで、ウイルスが畑全体に広がる危険性があります。

ハダニによる被害

ハダニは体長0.3~0.5mm程度と非常に小さく、肉眼で確認するのが困難な害虫です。主な種類はナミハダニ(Tetranychus urticae)とカンザワハダニ(Panonychus citri)で、葉裏に寄生して汁液を吸います。

25℃の環境下では卵から成虫まで約1週間という驚異的な繁殖力を持っており、気づいた時には大発生していることも少なくありません。ハダニの被害を受けた葉は、最初は白い斑点が現れ、次第に葉全体が黄色く変色し、最終的には枯れてしまいます。

ハダニは乾燥した環境を好むため、雨の少ない時期やビニールハウス内での被害が特に深刻です。葉裏に細かいクモの巣のような糸を張ることがあり、これが大量発生のサインになります。

ナメクジによる被害

ナメクジは夜行性の害虫で、昼間は鉢の下や株元の落ち葉の中などに隠れ、夜になると活動を始めます。ナメクジは葉や果実を食害し、特に熟した果実を好んで食べるため、収穫直前の被害が大きくなります。

食害痕は不規則な形で、表面を舐めるように食べるため、果実の商品価値が完全に失われます。ナメクジは湿気を好むため、梅雨時期や水やり後に活動が活発になります。また、ナメクジの這った跡には粘液が残り、これが病原菌の侵入口になることもあります。

アブラムシの効果的な防除方法

アブラムシ対策は早期発見と迅速な対応が鍵となります。小規模な発生なら物理的防除で対応できますが、大発生した場合は薬剤防除も検討する必要があります。

アブラムシの効果的な防除方法 - illustration for いちごの害虫対策|アブラムシ・ハダニ・ナメクジの防除法
アブラムシの効果的な防除方法 - illustration for いちごの害虫対策|アブラムシ・ハダニ・ナメクジの防除法

物理的防除と予防

最も基本的な対策は、定期的な観察と早期発見です。週に2~3回は株全体をチェックし、特に新芽や葉裏を重点的に確認しましょう。アブラムシを見つけたら、初期段階では粘着テープで直接捕獲したり、水を勢いよく吹きかけて洗い流したりすることが効果的です。

防虫ネットや寒冷紗を設置することで、成虫の飛来を物理的に防ぐことができます。ただし、通気性を確保し、蒸れによる病害を防ぐため、網目の大きさは0.4~0.8mm程度が適切です。

また、ニンニクをいちごの近くに植えるコンパニオンプランティングは、アブラムシの忌避効果があることが確認されています。ニンニクの匂いがアブラムシを遠ざけ、発生を抑制します。

天敵を活用した生物的防除

近年注目されているのが、天敵昆虫を利用した生物的防除です。テントウムシ、クサカゲロウ、ヒラタアブの幼虫はアブラムシの天敵として知られています。

特にナナホシテントウムシは1日に50~100匹ものアブラムシを捕食し、クサカゲロウの幼虫も1匹で数百匹のアブラムシを食べる能力があります。市販の天敵製剤を購入して放飼することも可能で、化学農薬に頼らない持続可能な防除が実現できます。

バンカープラント(おとり植物)を設置する方法も効果的です。ムギ類にムギクビレアブラムシを寄生させ、そこにアブラムシバチなどの天敵を定着させることで、いちごに飛来するアブラムシを継続的に駆除できます。

薬剤による防除

大発生した場合や天敵だけでは対応できない場合は、薬剤防除を検討します。有機栽培でも使用できる選択肢として、気門封鎖型の薬剤(サンクリスタル乳剤、サフオイル乳剤など)や、ニームオイル(ニーマックス)があります

これらは物理的に害虫の呼吸器官を塞ぐことで駆除するため、薬剤抵抗性が発達しにくく、使用回数の制限もありません。散布時は葉裏までしっかり薬液がかかるよう、丁寧に作業することが重要です。

化学農薬を使用する場合は、RAC(Resistance Action Committee)コードの異なる薬剤をローテーションさせることで、抵抗性の発達を防ぎます。同じ系統の薬剤を連続使用すると、数世代で抵抗性個体が増え、効果が著しく低下します。

ハダニの効果的な防除方法

ハダニは非常に小さく、発見が遅れやすい害虫です。また繁殖力が強いため、見つけた時には既に深刻な被害が出ていることも珍しくありません。

ハダニの効果的な防除方法 - illustration for いちごの害虫対策|アブラムシ・ハダニ・ナメクジの防除法
ハダニの効果的な防除方法 - illustration for いちごの害虫対策|アブラムシ・ハダニ・ナメクジの防除法

早期発見と環境管理

ハダニの早期発見には、葉裏の定期的なチェックが不可欠です。白い斑点が見え始めたら、ルーペや虫眼鏡で葉裏を確認しましょう。ハダニは乾燥を好むため、適度な湿度を保つことが予防の基本です

株間の風通しを良くし、定期的に葉水を与えることで、ハダニの発生を抑えられます。特にビニールハウス栽培では、高温乾燥になりやすいため、換気と湿度管理を徹底しましょう。マルチングに使う資材も重要で、反射マルチは光を反射してハダニの定着を妨げる効果があります。

天敵カブリダニによる生物的防除

ハダニ対策で最も効果的な方法の一つが、天敵カブリダニの利用です。チリカブリダニ(Phytoseiulus persimilis)やミヤコカブリダニ(Neoseiulus californicus)は、ハダニを専門に捕食する益虫です。

チリカブリダニは1日に最大20匹のハダニを捕食し、卵から幼虫まであらゆる発育段階のハダニを餌とします。市販の天敵製剤を購入して放飼すれば、シーズンを通じた防除が可能です。ただし、化学農薬を使用すると天敵も死んでしまうため、天敵利用を選択する場合は薬剤散布を控える必要があります。

薬剤による防除

ハダニに効果的な薬剤としては、殺ダニ剤が専門的に開発されています有機栽培で使用できる選択肢には、微生物農薬のボタニガードES(Beauveria bassiana菌)や、天然成分由来のスタイレットオイルなどがあります。

化学薬剤を使用する場合は、アブラムシ対策と同様にRACコードをローテーションさせることが重要です。ハダニは非常に抵抗性を獲得しやすく、同じ薬剤の連用は避けなければなりません。卵に効かない薬剤も多いため、7~10日間隔で2~3回散布することで、孵化した幼虫も確実に駆除できます。

ナメクジの効果的な防除方法

ナメクジは夜行性で動きが遅いため、物理的な防除が比較的効果的です。化学的防除と組み合わせることで、被害を最小限に抑えられます。

ナメクジの効果的な防除方法 - illustration for いちごの害虫対策|アブラムシ・ハダニ・ナメクジの防除法
ナメクジの効果的な防除方法 - illustration for いちごの害虫対策|アブラムシ・ハダニ・ナメクジの防除法

物理的防除と環境整備

ナメクジ対策の基本は、夜間の見回りと手作業での捕獲です。日没後、特に夜8時以降に懐中電灯を持って畑を見回り、発見したナメクジを割り箸などで摘まんで捕獲します。

誘引トラップも効果的で、バナナの皮やビールを容器に入れて夕方に設置すると、ナメクジが誘引されて集まります。翌朝回収して処分すれば、効率的に数を減らせます。ナメクジは湿気を好むため、株元の風通しを良くし、枯れ葉や雑草を除去して隠れ場所をなくすことも重要です。

物理的バリアの設置

ナメクジの侵入を防ぐ物理的バリアとして、松葉や砕いた卵殻、珪藻土などを株の周囲に敷く方法があります。これらの素材は表面がザラザラしており、ナメクジが嫌がって通過しません。

銅製のテープやワイヤーを鉢やプランターの縁に巻く方法も効果的です。ナメクジは銅に触れると電気的反応で不快感を覚え、進行を止めます。市販の銅テープは簡単に設置でき、長期間効果が持続します。

薬剤による防除

薬剤を使用する場合、ナメクジ専用の誘引殺虫剤(メタアルデヒド製剤やリン酸第二鉄製剤)が効果的です。特にリン酸第二鉄を主成分とする薬剤は、有機栽培でも使用でき、人やペット、益虫への影響が少ないため安全性が高いとされています。

薬剤は夕方に株元や通路に散布し、ナメクジが夜間に摂食するタイミングに合わせます。雨で流れやすいため、降雨後は再散布が必要です。ただし、薬剤に依存しすぎず、環境整備や物理的防除と組み合わせることで、総合的な防除効果が高まります。

総合的病害虫管理(IPM)の実践

現代の害虫対策では、単一の方法に頼らず、複数の防除手段を組み合わせた総合的病害虫管理(IPM: Integrated Pest Management)が推奨されています。化学農薬だけに頼ると、薬剤抵抗性の発達や環境への負荷が問題となります

総合的病害虫管理(IPM)の実践 - illustration for いちごの害虫対策|アブラムシ・ハダニ・ナメクジの防除法
総合的病害虫管理(IPM)の実践 - illustration for いちごの害虫対策|アブラムシ・ハダニ・ナメクジの防除法

IPMの基本原則

IPMでは、まず予防を重視します。健全な土作りと適切な栽培管理により、植物自体の抵抗力を高めることが基本です。次に、定期的な観察による早期発見と、発生初期の物理的防除を行います。天敵などの生物的防除を組み込み、化学農薬は最後の手段として位置づけます。

薬剤を使用する際も、選択性の高い薬剤や天敵に影響の少ない薬剤を優先し、RACコードをローテーションさせて抵抗性を防ぎます。散布のタイミングや方法も重要で、害虫の発生ピークに合わせた効率的な防除を心がけます。

栽培環境の最適化

害虫の発生を抑えるには、栽培環境の管理が欠かせません。株間を適切に保ち、通気性を確保することで、湿度を調整し病害虫の発生を抑えます。いちごの育て方全般については、こちらの完全ガイドも参考にしてください

マルチングは雑草抑制と土壌水分の安定に役立ちますが、材質によっては害虫の隠れ家になることもあります。反射マルチや松葉マルチなど、害虫対策を考慮した資材選びが重要です。また、連作を避け、輪作を取り入れることで、土壌中の病害虫密度を下げることができます。

記録と評価

IPMを効果的に実践するには、日々の観察記録が重要です。害虫の発生時期、発生場所、被害程度、実施した対策とその効果を記録することで、次年度の栽培に活かせます。

記録項目記録内容活用方法
害虫発生日最初に発見した日付発生時期の予測
発生場所畝番号、株番号発生しやすい場所の特定
害虫密度葉あたりの個体数防除要否の判断基準
実施対策使用した防除方法効果の比較検証
対策後評価3日後、7日後の密度防除効果の測定
天候記録気温、湿度、降雨害虫発生と環境の関連分析

このような記録を蓄積することで、自分の畑に適した防除プログラムが構築でき、より効率的で持続可能な害虫対策が実現します。

予防が最良の対策

害虫対策で最も重要なのは、発生を未然に防ぐ予防的アプローチです。害虫が大発生してから対処するのは労力もコストもかかり、植物へのダメージも大きくなります。

健全な苗の選択と導入

害虫対策は苗の導入時から始まります。購入する苗は信頼できる生産者から入手し、アブラムシやハダニが付いていないか、葉裏までよく確認しましょう。新しい苗を畑に定植する前に、数日間隔離して観察することで、持ち込み害虫のリスクを減らせます。

自家育苗する場合は、親株の管理を徹底し、ランナーを取る際にも害虫がいないことを確認します。他の野菜栽培でも共通する害虫対策の基本は、こちらの葉物野菜ガイドでも解説しています

定期的な観察と早期対応

週に2~3回、できれば毎日の観察を習慣づけることが理想です。特にアブラムシやハダニは初期段階なら簡単に駆除できますが、数が増えると対策が困難になります。新芽、葉裏、株元を重点的にチェックし、少数でも発見したら即座に対応しましょう。

観察時には、害虫だけでなく天敵の存在も確認します。テントウムシやクサカゲロウの幼虫がいれば、化学農薬の散布は控え、天敵に任せる判断も必要です。

周辺環境の管理

いちご栽培エリアの周辺環境も害虫発生に影響します。畑の周囲に雑草が茂っていると、そこが害虫の発生源になります。定期的な草刈りで雑草を管理し、害虫の移動経路を断ちましょう。

一方で、多様な植物が生育する環境は天敵昆虫の住処となり、害虫の自然な抑制につながります。畑の一部に花を植えて、天敵を呼び寄せるバンカープラントとして活用することも効果的です。

まとめ

いちごの害虫対策は、アブラムシ、ハダニ、ナメクジそれぞれの生態を理解し、適切な方法を組み合わせることが成功の鍵です。化学農薬だけに頼らず、物理的防除、生物的防除、環境管理を統合したIPMアプローチを実践することで、持続可能で効果的な害虫管理が実現します。

予防を最優先とし、早期発見・早期対応を心がけ、日々の観察記録を蓄積することで、年々改善された防除プログラムが構築できます。健全ないちご栽培のために、今日から実践できる対策から始めてみましょう。

関連記事

いちごジャム・いちご大福の作り方|自家栽培いちごの活用レシピ

いちごジャム・いちご大福の作り方|自家栽培いちごの活用レシピ

家庭菜園で収穫したいちごを使ったジャムと大福の作り方を詳しく解説。プレザーブスタイルのジャムレシピや、電子レンジで2分半で作れる求肥の簡単レシピ、保存方法や失敗しないコツまで、初心者でも美味しく作れる自家製いちご活用法を紹介します。

続きを読む →
いちごの高設栽培と立体栽培|腰を痛めない効率的な栽培スタイル

いちごの高設栽培と立体栽培|腰を痛めない効率的な栽培スタイル

いちごの高設栽培・立体栽培の完全ガイド。腰痛を劇的に軽減し、スペース効率を4~5倍向上させる現代的な栽培方法を徹底解説。設備選び、初期投資220万~1,500万円の内訳、ランニングコスト、メリット・デメリット、成功事例まで、プロ農家も家庭菜園者も必読の情報を網羅。

続きを読む →
いちごの栄養と健康効果|ビタミンCとアントシアニンの効能

いちごの栄養と健康効果|ビタミンCとアントシアニンの効能

いちごの栄養価と健康効果を科学的根拠に基づいて解説。ビタミンC、アントシアニン、葉酸などの栄養素がもたらす美肌効果、免疫力向上、心血管疾患予防、血糖値コントロールなど、いちごの驚くべき効能を詳しく紹介します。

続きを読む →
四季なりいちごの育て方|春から秋まで長く収穫できる品種と栽培法

四季なりいちごの育て方|春から秋まで長く収穫できる品種と栽培法

四季なりいちごは春から秋まで長期間収穫できる魅力的な品種です。温度や日長に左右されず継続的に実をつけるため、家庭菜園やプランター栽培に最適。おすすめ品種、苗の選び方、植え付け方法、日常管理、収穫のコツまで詳しく解説します。

続きを読む →
いちごの栽培カレンダー|月別の管理作業と年間スケジュール

いちごの栽培カレンダー|月別の管理作業と年間スケジュール

いちご栽培の年間スケジュールを月別に詳しく解説。促成栽培から露地栽培まで、定植時期、育苗管理、収穫適期など、季節ごとの重要な管理作業をカレンダー形式でご紹介します。家庭菜園初心者から本格農業まで対応。

続きを読む →
いちごの人工授粉のやり方|確実に実をつけるテクニック

いちごの人工授粉のやり方|確実に実をつけるテクニック

いちごの人工授粉の正しいやり方を徹底解説。開花2~4日目が最適タイミング、筆や綿棒を使った授粉方法、均等に受粉させて形の良い大きな果実を実らせるコツ、失敗例と対処法まで、家庭菜園でいちごを確実に収穫するためのテクニックをまとめました。

続きを読む →