いちごの苗の選び方と植え付け方法|クラウンの植え方のコツ

いちご栽培で最も重要な苗選びと植え付け時の「クラウン」の扱い方を詳しく解説。クラウンの正しい深さ、健康な苗の見分け方、ランナーの向き、株間の取り方など、初心者でも失敗しないいちご栽培のポイントをプロが伝授します。
いちごの苗の選び方と植え付け方法|クラウンの植え方のコツ
いちご栽培で最も重要なのは、苗選びと植え付け時の「クラウン」の扱い方です。クラウンとは、いちごの株の中心にある太い茎のような部分で、ここから葉や花が生まれます。このクラウンを正しく扱わないと、せっかくの苗が枯れてしまうことも。本記事では、健康な苗の選び方から、クラウンの正しい植え付け深さまで、いちご栽培の成功に欠かせないポイントを詳しく解説します。
いちごの苗選びで見るべき3つのポイント
良い苗を選ぶことが、いちご栽培の成功を左右します。園芸店やホームセンターで苗を購入する際は、以下の3つのポイントを確認しましょう。

クラウンの太さと状態
最も重要なのがクラウンの状態です。クラウンは地面から出ている太いものを選ぶのがベスト。研究によれば、クラウン直径15-17mmの苗が収量と品質の点で最適とされています。太くてしっかりしたクラウンは、多くの栄養を蓄えている証拠であり、クラウン直径が大きいほど収穫量が57%も向上するという研究結果もあります。
クラウンが細く弱々しい苗や、変色している苗は避けましょう。健康なクラウンは、白っぽい色をしており、傷や腐敗の兆候がありません。
葉の色とツヤ
葉の状態も苗の健康度を示す重要な指標です。葉や茎がしっかり太く、つやつやして色の濃いものを選びましょう。濃い緑色で光沢のある葉は、十分な光合成を行っている証拠です。
逆に、黄色く変色した葉や、しおれている葉が多い苗は避けるべきです。また、葉の裏側もチェックし、害虫や病気の兆候がないか確認しましょう。
根の張り具合
ポット苗の場合、底から根が少し見えているものが理想的です。根がポットいっぱいに張っていれば、その苗は健康に育っている証拠です。ただし、根がぐるぐると巻きすぎている「根詰まり」状態の苗は、植え付け後の成長が遅れることがあるため注意が必要です。
| 良い苗の特徴 | 避けるべき苗の特徴 |
|---|---|
| クラウンが太く白い(直径15-17mm) | クラウンが細く変色している |
| 葉が濃い緑色でツヤがある | 葉が黄色や褐色に変色している |
| 病害虫の痕跡がない | 葉に穴や斑点が多い |
| 根がポット全体に張っている | 根が極端に少ないか巻きすぎている |
| 新しい葉が展開している | 成長が停止している様子 |
クラウンの植え付け深さが成功のカギ
いちご栽培で最も失敗しやすいのが、クラウンの植え付け深さです。クラウンを土に埋めると苗が枯れる原因になるため、正しい深さを理解することが極めて重要です。

正しいクラウンの位置
クラウンの中心を土の表面に合わせるのが正しい植え方です。具体的には、クラウンの下半分が土に埋まり、上半分が地上に出ている状態が理想的です。
植え付け深さが浅すぎると根が乾燥し、深すぎると腐敗するという両方のリスクがあります。クラウンが完全に埋まってしまうと、新しい葉が地上に出てこられず、クラウンが腐って株全体が枯れてしまいます。逆に、クラウンが高すぎると根が露出し、乾燥や寒さで傷んでしまいます。
植え付けの手順
- 穴を掘る:根がまっすぐ伸びる深さの穴を掘ります。いちごの根は土の上層15〜30cmに集中しているため、十分な深さを確保しましょう。
- 根を広げる:ポットから取り出した苗の根を優しくほぐし、下向きに広げます。根が円形に巻いている場合は、軽くほぐしてから植えると、その後の根張りが良くなります。
- クラウンの位置を調整:苗を穴に入れ、クラウンが土の表面と同じ高さになるように調整します。このとき、根がしっかり土の中に入り、クラウンは地上に出ている状態を目指します。
- 土を寄せる:根の周りに土を入れ、手で優しく押さえて固定します。強く押しすぎると根を傷めるので、適度な力加減が大切です。
- 水やり:植え付け直後にたっぷりと水を与えます。これにより土と根が密着し、活着が促進されます。
クラウンの深さチェック方法
植え付け後は、横から見てクラウンの位置を確認しましょう。クラウンの上部(葉が出ている部分)が土の表面より少し上にあり、根元が土に隠れていれば正しい深さです。もし深すぎる場合は、優しく株を持ち上げて土を足し、浅すぎる場合は土を少し取り除いて調整します。
ランナーの向きと株間の取り方
いちごの苗には「ランナー」と呼ばれる、親株から伸びていたつるの跡があります。このランナーの向きを意識して植えることで、収穫がしやすくなります。
ランナーの向きの重要性
ランナーの反対側に花が咲くため、ランナーを畝の内側に向けて植えるのが基本です。こうすることで、実が通路側になり、収穫や管理がしやすくなります。
プランター栽培の場合は、ランナーをプランターの中央に向け、花や実が外側に来るようにすると見栄えも良く、収穫もしやすくなります。
適切な株間
苗同士の間隔を30cm程度あけることで、それぞれの株が十分に成長できるスペースを確保できます。株が密集しすぎると、風通しが悪くなり病気が発生しやすくなります。また、日光が株全体に当たらず、光合成が不十分になって実の品質も低下します。
プランターの場合、60cmプランターに2株、80cmプランターに3株程度が目安です。露地栽培では、条間(畝と畝の間)は60〜80cm、株間は25〜30cmが標準的な配置です。
植え付け時期と品種による違い
いちごには「一季なり」と「四季なり」の2つのタイプがあり、それぞれ最適な植え付け時期が異なります。
一季なり品種
一季なり品種は9月中旬〜10月中旬が植え付け適期です。この時期に植えると、冬を越えて春に大きな実を収穫できます。一季なり品種は、寒さを経験することで花芽を形成する性質があるため、秋植えが基本です。
代表的な品種には「とちおとめ」「あまおう」「紅ほっぺ」などがあり、春に一度だけ集中して実を付けます。甘みが強く、大きな実が特徴です。
四季なり品種
四季なり品種は3月下旬〜4月上旬が植え付け適期ですが、秋植えも可能です。四季なり品種は気温が適度であれば年に数回実を付けるため、長期間収穫を楽しめます。
「夏姫」「なつあかり」などの品種があり、春から秋まで断続的に収穫できるのが魅力です。ただし、一季なり品種に比べると実のサイズは小さめで、甘みもやや控えめな傾向があります。
地域による植え付け時期の調整
寒冷地では植え付け時期を早め、暖地では遅めにするのが基本です。目安として、最低気温が15℃を下回る2〜3週間前に植え付けると、根がしっかり張った状態で冬を迎えられます。
植え付け後の初期管理
植え付け直後の管理が、その後の生育を左右します。正しい初期管理で、苗を確実に活着させましょう。

水やりの頻度
植え付け後1〜2週間は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。ただし、常に土が湿っている状態は根腐れの原因になるため、水はけの良い状態を保つことが重要です。
活着後(新しい葉が展開し始めたら)は、やや乾燥気味に管理します。いちごは過湿を嫌うため、土の表面が乾いてから水やりする程度で十分です。
マルチングの効果
植え付け後、株元に藁や専用のマルチシートを敷くと、土の乾燥を防ぎ、雑草の発生も抑えられます。また、冬季は寒さから根を守る効果もあります。
春になって実が付き始めると、マルチは実が土に触れるのを防ぎ、病気や腐敗を予防する役割も果たします。黒いマルチシートは地温を上げる効果がありますが、夏は逆に高温になりすぎることがあるため、四季なり品種の場合は注意が必要です。
肥料の与え方
植え付け直後は肥料を与えません。根が傷んでいる状態で肥料を与えると、肥料焼けを起こす可能性があるためです。植え付け2〜3週間後、新しい葉が展開し始めたら、薄めた液体肥料を与え始めます。
一季なり品種の場合、11月頃と2月頃に追肥を行います。四季なり品種は生育期間中、月に1〜2回程度の追肥が必要です。いずれも、窒素過多になると葉ばかり茂って実が付きにくくなるため、リン酸・カリを多く含む肥料を選びましょう。
よくある失敗とその対策
いちご栽培でよくある失敗例と、その対処法を知っておくことで、トラブルを未然に防げます。

クラウンが腐る
原因:クラウンを深く植えすぎたか、水のやりすぎで過湿状態になっている。
対策:植え直しが必要です。クラウンの位置を正しく調整し、水はけの良い土を使いましょう。鉢底石を入れたり、高畝にすることで排水性が向上します。
葉が黄色くなる
原因:肥料不足、水不足、または根の活着不良が考えられます。
対策:土の乾燥具合を確認し、適切に水やりします。活着後であれば、薄めた液体肥料を与えてみましょう。また、強い日差しで葉焼けしている場合は、一時的に遮光すると回復することがあります。
株が成長しない
原因:根詰まり、不適切な植え付け深さ、または土壌の栄養不足が考えられます。
対策:植え付け深さを確認し、必要に応じて調整します。根がポットの形のまま巻いている場合は、根をほぐして植え直すと改善することがあります。
ランナーばかり伸びる
原因:窒素肥料が多すぎる、または日照不足。
対策:窒素を控え、リン酸・カリ分の多い肥料に切り替えます。また、日当たりの良い場所に移動するか、余分なランナーは早めに切り取りましょう。
まとめ:いちご栽培成功の3つの鉄則
いちごの苗選びと植え付けを成功させるには、以下の3点を守ることが重要です。
- クラウンが太く健康な苗を選ぶ:直径15-17mmの太いクラウンを持ち、葉がツヤツヤしている苗を選びましょう。
- クラウンは土の表面に合わせる:クラウンの中心が土の表面と同じ高さになるように植え、深すぎず浅すぎない位置を保ちます。
- 株間30cmを確保し、ランナーの向きを意識する:風通しと日当たりを良くし、収穫しやすい配置にします。
これらのポイントを守れば、初心者でも甘くて大きないちごを収穫できます。いちごの育て方完全ガイドでは、収穫までの全工程を詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
また、家庭菜園全般の基本を学びたい方は、トマトの育て方完全ガイドやきゅうりの育て方完全ガイドなど、他の野菜栽培記事もご参考ください。正しい知識と丁寧な管理で、美味しいいちごを育てましょう。
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